【書籍紹介】「暴力の解剖学」 貴方の近くにも「脳」が機能不全を起こしている「怪物」が潜んでいないとは限らない。

暴力の解剖学 - 神経犯罪学への招待」  著者:エイドリアン・レイン

実はこの書籍、1年くらい前に購入して、一度は読んだのですが、2017年3月26日に発生した「千葉松戸市・小3女児殺人事件」を機に、もう一度、読み返してみました。

日本でも、毎年、1人、2人ですが、幼い子供を狙って残忍な犯罪(暴力)を犯す、「怪物」の様な「脳」を持った人間が現れます。しかも、密かに社会の中に溶け込んでいて、まさかという人間が怪物としての正体を現す。

貴方の近くにも、「脳」が機能不全を起こしている「怪物」が、潜んでいないとは限らないのです。


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しかし、国内でも、新聞や雑誌を開けば遺伝子や脳の機能不全に関する事柄を目にするようになってきたが、未だに実しやかに「血液型」で人の性格を判断しているような無知で低レベルな国民や、脳の機能障害についても、やっと、ADHD、アスペルガーなどの言葉が出る様になりましたが、人間の「脳」がどうなているか、まだ解明されていない部分が多いですが、脳が、1000億個のニューロンと100兆個のシナプスで繋がっていて、自分の脳内で情報の伝達がどう行われているのかも知らない無知な国民が多勢無勢を占めています。

殆どの世の中の人間様は、自分自身の頭の中の構造、仕組みに付いて、何も知らずに何十年も生き続けているのが、逆に不思議です。

第1章  本能
第2章  悪の種子
第3章  殺人にはやる心
第4章  冷血
第5章  壊れた脳
第6章  ナチュラル・ボーン・キラー
第7章  暴力のレシピ
第8章  バイオソーシャルなジグソーパズル
第9章  犯罪を治療する
第10章 裁かれる脳
第11章 未来
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1.神経犯罪学とは、

脳や自律神経系などの生物学的な構造や機能の欠陥が、いかに反社会的性格を生み、ひいてはその人を犯罪に至らしめるものかを研究する学問分野で、本書はそれを包括的に説明しています。

「反社会的性格」を生みだす原因は、どんなことが有るのだろうかという研究の成果が、色々と記載されています。

例えば、

※実は、この書籍を読んでゆくと分かるのですが、脳の前頭葉に癌が有る場合も、サイコパスの様な犯罪を犯すことがあります。 ただ、脳に、どのような機能不全を起こしている事を説明できても、犯罪として刑罰を受ける仕組みになっているのが、現状です。 タブーと言われている処の一つで、脳の障害が起きていれば、刑罰を受けなくていいのかという難問に当たります。

※出産時の合併症、胎児期における衛生環境により、脳の発達に異常をきたすことも分かっています。 喫煙、アルコールの摂取は、胎児の脳の発達にダメージを与え、精神疾患にいたる可能性を大いに含んでいる。

2.本書の「サイコパス」について面白い記述があります。

サイコパスの定義とは、『精神障害の診断と統計マニュアル』(DSM)に分類されてはいませんが、パーソナリティ障害のB群「反社会的人格(パーソナリティ)障害」の一種を意味する心理学用語で、精神病質をサイコパシー、精神病質者をサイコパスと呼ぶ。

サイコパスは異常であるが病気(精神病)ではなく、ほとんどの人々が通常の社会生活を営んでいる。そのため、現在では精神異常という位置づけではなく、パーソナリティ障害(人格障害)とされている。そのため、日本では「反社会性パーソナリティ障害」と名称されている。

1)実は、「サイコパス」は、普通の人間より、明らかに違う処があります。

自律神経系に支配された、動悸、発汗などの身体の状況を表す反応が違うようです。

通常、恐怖やストレスを感じるような場面でも、通常の人間より反応が鈍いようです。

実はこの特徴の違いで、サイコパスにも、「勝ち組のサイコパス」と「負け組のサイコパス」がいるということです。もうちろん、勝ち負けの意味は、当局に逮捕されたかどうかですが、では、どうして、勝ち組と負け組に別れるのか?

2)同じ「サイコパス」でも、何が違うのか?

負け組のサイコパスは、危険を告げる兆候に対する自律神経の反応が鈍い、勝ち組はそこが鋭く、故に警察に捕まりづらい。

自律神経系の機能が鈍い、間抜けなサイコパスは、警察に捕まりやすいのだそうです。

やはり、犯罪を犯してしまう「衝動」と自分を守ろうとする(捕まらない)危険を察知する能力により、間抜けなサイコパスと、「犯行(衝動)」の実行前後も冷静で用心深いサイコパスが居るのです。

サイコパスは、映画「羊たちの沈黙」に出てくるような「ハンニバル・レクター」のような「IQ」の高い人間たちばかりではなく、「IQ」の低いサイコパスも多いようです。

3)研究対象者(サイコパス的な人間)を集める方法

本書で、米国で、研究対象者(サイコパス的な人間)を集めるのに、臨時の職業紹介所に来る人達を、研究目的を話して、たとえ本人の秘密を話しても、告発しないという、お墨付きを付けて、実験に参加してもらうそうです。

なぜ、臨時の職業紹介所が、反社会的人格の人間の宝庫かと云うと、通常このような人格を持った人間は、一つの所にとどまっていることができないそうです。 悪事を働いては、捕まらずに、場所を定期的変えて、流れてゆく性質を持っているからだそうです。

※「サイコパスについて、詳しく知りたいなら、下記の4冊の書籍がお勧めです。

追記
早速、はてなに、「千葉松戸市・小3女児殺人事件」に関して、こんな記事がありました

参考記事:「ロリコンがさらった子供を殺す理由

なぜ危険を冒してまで誘拐した子供をさらった挙句、殺すのか疑問だった。

何となく想像で、さらったらなるべく長い間見つからないように監禁して愛玩するんじゃないのかね?と思っていた。

近ごろロリコン(犯罪は犯していない)と知り合いになったので疑問をぶつけたみたところ、納得いく回答をもらった。

いわく「さらったロリがママじゃなかったから失望と混乱で殺すんじゃないか」とのこと。

まず、筆者は「ロリコンは子供の幼稚な外見・中身が好き」と考えていたのだが、そこが間違いなのだという。

「ロリコンは幼い外見をして、かつ中身は聖母の精神を宿した子供が好き」なのだそうだ。

いわゆる「バブみ」というやつはネタじゃなかったらしい。

なにが、「納得いく回答をもらった。」のか?。。。意味不明です。

まず、「ロリコン」と「小児性愛」の区別がついていない。

・「ロリコン」は
ロリータコンプレックスは、性的倒錯など医学や精神分析的な分析とは意味合いが異なる

・「小児性愛」は
精神障害の分類で、医学的疾患(性嗜好障害)「ペドフィリア」と言われています。

千葉松戸市・小3女児殺人事件」の容疑者は、まずただの「ロリコン」とは違うでしょう。

自分の犯行に関して、細心の注意を払っていないように思えますが、「ペドフィリア」の傾向のある、負け組の「サイコパス」でしょうか?

犯行の手口といい、後処理についても、犯行を誇示するような「衝動」が先走り、用心深く、捕まらないように犯行を実行したとは思えない様に感じます。

計画的かどうかは、それは計画するでしょうが、抑えきれない衝動を実行する上での計画性で、自分が「絶対に捕まらないようにする」と云う視点が余り感じられないのです。

いずれにしても「脳」に精神障害を持っていなければ、できない犯行ではと思います。


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3.この書籍を読むに当たって、脳の機能、脳の機能障害を予め知識があると、何を言っているのか、理解しやすいでしょう。

1)その他の科学技術との関係でいえば

(1)人工知能(AI)との関係

ふと思うのは、この学問の研究は、ひょっとすると、現在、人工知能(AI)がシュンギラリティーを迎えたときに、皆が心配している「悪の人工知能」を作り出さないために、とても重要な研究ではないかと思います。

何故なら、人工知能(AI)が進歩して、人間の様に「意識」を持つようなことになれば、「悪の心」を持った人工知能(AI)が出現してもおかしくありません。

人類の「脳」の場合、1千億個のニューロンと100兆個のシナプスと脳内伝達物質の動作していますが、これを自分の意識でコントロールすることは難しいと思いますが、人工知能(AI)がソフトウエアだとしたら、何とかなる様な気もしますが、楽観はできません。

(2)ゲノム編集の技術

「遺伝子組み換え」ではなく、「ゲノム編集」の時代に突入しています!!!

この研究が進み、犯罪(暴力)の問題を解決しようとすると、かなり色々な、手を付けてはいけないような問題にまで発展してゆきます。 優生学的にも。

何故なら、ゲノム編集の技術が進歩してきて、「受精卵」に対する遺伝子操作に規制をかける必要性が出てきています。

つまり、機械が壊れるて、修理する様に、人間の「脳」は修理できませんので、脳や自律神経系などの生物学的な構造や機能の欠陥を生命の発生段階で「悪の種子」つまり、遺伝子を操作しようという考え方もできます。

国によっては、性犯罪を犯した人間には、強制ではないが、去勢手術、科学的(薬物)による去勢を勧めらえるところもあります。 明らかに、去勢後の犯罪率は下がるようです。

2)人間の脳とは、

「ニューロン(神経細胞)」約1000億個の空間に「軸索」、「樹状突起」、「シナプス」約100兆個で繋がっている「脳」のネットワーク(神経回路)と、前頭葉、側坐核、海馬、扁桃体などの部位と複雑に繋がり、ニューロン間の情報の伝達は、神経伝達物質により情報を伝達する機能の集合体です。

人間の情動を制御しているのは、前頭葉の前頭前野、側坐核、海馬、扁桃体などの部位が関連しあって起き上がってきます。最低でもこの4つの部位の機能と主な働きを認識しておく必要があります。

・扁桃体
ヒトを含む高等脊椎動物(サルも同じ)において、扁桃体は、情動的な出来事に関連付けられる記憶の形成と貯蔵における主要な役割を担う。恐怖条件づけの際、感覚情報は扁桃体の基底外側複合体に送られ、そこで刺激の記憶と関連付けられる。

また、扁桃体は、「記憶固定」の調節にも関わっていて、学習される出来事の後に、出来事の長期記憶がすぐに形成されるのではなく、その出来事に関する情報は、記憶固定と呼ばれる処理によって長期的な貯蔵庫にゆっくりと同化され、半永久的な状態へと変化し、生涯に渡って保たれる。

偏桃体で恐怖を感じると、それが、「海馬」から大脳への長期的な記憶領域へ記憶される。
怖い思いをしたことは、ずっと忘れずに覚えているのは、この仕組みがあるからです。

この脳から、「偏桃体」を取ると、通常の生活はできますが、例えば、暖炉の火のこが床に落ちると、それを熱いと感じる記憶が無いので、平気で手で触って拾おうとするそうです。
そう、「熱い」という恐怖の記憶が、無いのです。

・海馬
海馬の機能は、「短期記憶」や「感情」をコントロール
する機能を有しています。「偏桃体」とも深い関連性があります。

体の細胞は常に入れ替わっていますが、心臓の筋肉や大脳の細胞はあまり入れ替わりません。しかし、海馬の細胞は入れ替わります。ですので記憶は、約1か月くらいの間しか保持できません。そして、忘れる前に大事な事柄は、海馬から大脳に情報が移り、記憶として固定されます。

「一夜漬け」で勉強したことを覚えておけない、身に付かないのは、海馬から、大脳に大事な情報として、情報が記憶されないからです。 正に「一夜漬け」となってしまうのです。

しかし、「偏桃体」で感じた「恐怖」の信号があれば、海馬は、大脳に、生命に関わる大事な情報として保持させるように情報を伝えます。

同じことを何度も、何度も、覚えようとすると、「海馬」は、これは大切な事なんだと勘違いをして、大脳に情報を記憶させるようです。ですので、学習も、何度も、復習して覚えようとすることは、大脳に記憶させるためには必要な事なのです。

ロンドンでタクシー運転手になるための資格をとるのは世界一難しいそうですが、この試験の合格者は、脳内で方向や記憶情報を司る「海馬」が一般の人より大きくなるという調査結果もあります。海馬は、大脳皮質に「情報」を記憶・保持させるための「関所」のような役目をしている処でもありますので、大量に、位置や方向を記憶する必要のある仕事をしている人は、海馬が大きくなるんでしょう。

1番、重要なことは、自分が、自分自身の強い「意志」で動いていると考えているなら、大きな間違いです。

もちろん、生まれる前からの遺伝的要素、生まれてからの生活環境、養育環境にも影響されますが、自分の意志以上に脳のネットワーク(配線)と情報の伝達にかかわる神経伝達物質に影響されて生きています。

2つ目は、2人と同じ「脳」は無いという事です。

3つ目は、脳は社会環境(養育環境)によっても変化する。

4つ目は、遺伝子的にも、環境の劣悪さで「エピジェネティック」が起こる場合がある。

関連記事
人間の「脳」に関する面白い記事を見つけましたので、ちょっと紹介します。

3)身近な脳のトラブル(機能不全)

大きく括ると、発達障害、パーソナリティ(人格)障害、愛着障害の3つに分類できるように思います。

関連記事
「発達障害」という言葉だけが先行し、脳科学の「社会の理解が進んでいない」

(1)発達障害

脳の中枢神経系の発育がなんらかの原因・理由で損なわれ、神経伝達物質として働く、前頭葉のドーパミン、セロトニン、ノルアドレナリンの代謝が障害されたり、領域間の神経のネットワークコネクションが弱であったりすることで様々の症状が起こるとされる。特に、社会性、協調性、感情のコントロールなどがアンバランスになり、不適応が起こる。

最近では、幼少時から頻繁に不適応が発生していると、心療内科など医療機関を受診することが多いが、発達障害は知的遅れを伴わないことがあり、大人になるまで「ちょっと変わった人」と思われるだけで、自他共に、気付かれないことが多いのです。

脳の大まかな機能的な部分は、大体同じだが、「配線」と「特性」が、人それぞれ違うのです。正確には、神経伝達物質による情報の伝達に、異常が発生する状態。

(2)パーソナリティ(人格)障害

・サイコパスの定義とは
『精神障害の診断と統計マニュアル』(DSM)により分類で云えば、パーソナリティ障害のB群「反社会的人格(パーソナリティ)障害」の一種を意味する心理学用語で、精神病質をサイコパシー、精神病質者をサイコパスと呼ぶ。

サイコパスは異常であるが病気(精神病)ではなく、ほとんどの人々が通常の社会生活を営んでいる。そのため、現在では精神異常という位置づけではなく、パーソナリティ障害(人格障害)とされている。そのため、日本では「反社会性パーソナリティ障害」と名称されている。

法的にも、精神異常として認めてしまうと、犯罪を犯した時に、法的に罪を問えなくなりますので、「精神異常者」としいては扱われない様です。

サイコパシー傾向のある者の脳は「罪と罰」の概念が理解できず、ゆえに矯正プログラムなども効果を発揮しないことが、新たな研究結果によって明らかになったそうです。

書籍紹介
『野戦病院でヒトラーに何があったのか 闇の二十八日間、催眠治療とその結果』

ノンフィクションです。世界の負の歴史の中で、1人の人間の所業を振り返ると、アドルフ・ヒトラーの存在が、大きく浮かび上がってきますが、モンスターに操られてしまったドイツ国民のことは、さて置いて、あのような悪魔の出現の原因、きっかけが、明らかになったような、事実?が描かれています。

(ベルンハルト・ホルストマン:著)

第一次大戦下では、ドイツ軍兵士として参戦していたアドルフ・ヒトラーが、負傷して野戦病院に入院した際に、精神科医から「ヒステリー症状を伴う精神病質者(サイコパス)」という診断をして、サイコパスは治せないが、ヒステリー症状は治せると催眠療法を施されていたが、催眠を解く作業を行わずに、ヒトラーが退院してしまっています。

アドルフ・ヒトラーが、催眠状態のまま政治的行動を起こし、その後の第二次大戦を導いた可能性を示唆しているのですが。。。。有ってはならないことが、心理学などの研究が一番進んでいた国ドイツで起こった出来事なのが、皮肉です。

まさに、この世に、「神」も「悪魔」も存在しないが、「悪魔」のような「脳」を持った人間は確かに居るのです。

(3)愛着障害

下記の記事を参照してください。

【書籍紹介】 岡田 尊司氏の著書3冊紹介します。 最新版「愛着障害の克服 「愛着アプローチ」で、人は変われる」

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夏休み、どこにも、お出かけしない人のための暇つぶし、「脳」に関する知識が深まる情報です。
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今年1年、追っかけていた自然科学(宇宙物理学、生物・遺伝子工学、脳科(神経)学、人工知能とロボット)、社会学(貧困問題、教育問題など)についてまとめ

書籍紹介
【書籍紹介】 2015年 冬休み 読んでおきたい書籍6冊です。
【書籍紹介】 「いじめは生存戦略だった!?」 進化生物学で読み解く生き物たちの不可解な行動の原理」
【書籍紹介】 他人を平気で振り回す迷惑な人たち
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