【書籍紹介】殺人に至る「病」 精神科医の臨床報告  岩波 明 (著)

本日の書籍紹介は、殺人に至る「病」 精神科医の臨床報告です。

東海道新幹線で3名が無差別に殺傷される事件が起こり、気になっっていたところ、毎日ゆく書店の平積みに、何気なく関連しているような書籍に目に止まり、すぐに、購入して読んでみました。なに、200ページ程ですので、2時間もあれば読めてしまいます。

– 目 次 –

第1章 不寛容という悪
第2章 精神病質
第3章 狂気か悪か
第4章 通り魔
第5章 カルト宗教と犯罪

これを読む前に、「もうひとつの脳」 ニューロンを支配する陰の主役「グリア細胞」という、脳科学の書籍を読んでいる途中で、読んでしまいましたので、脳科学者と違って、精神科医の仕事って、どうやって研究するのだろうと考えてしまいました。

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1.なぜ、そんなことを考えたかと云えば、

脳科学の研究なら、仮説を立て、実験をして、脳の部位が、どう反応するか、などを地道に実験を重ねて調べる作業でしょう。

ところが、犯罪を犯した人間の精神鑑定を行う場合、話を聴いて、生い立ちなども、もちろん調べるのでしょうが、他人の脳の中をその知り得た範囲以内の情報で、どんな症状、脳機能障害なのかをパターンを検討して、想像して組み立てるしか無いのだと思うと、精神科医によて、意見が大きく別れることが、多々あるのだろうということが、容易に想像出来ます。

にもかかわらず、世の中では「そのような人を差別しないように」と簡単に言いますが、職場などでは、仕事をしていますので、問題があれば、そのような人たちは、ミスを犯した時は叱責されるでしょうし、色々な目に会うでしょう。

だが、その人が、「発達障害」なのか、「総合失調症」なのか、「人格障害」なのか、「愛着障害」なのか、普通の人は、分かるわけがありません。

「変な奴」程度の認識しか持っていません。

せいぜい、血液型で性格判断をするくらいの「無知」な知識しかありません。

2.こんな状況分析もあります。

「二次障害」への理解とケア

 発達障害に関する記事では、「二次障害」という用語はよく見られるが、うつ病やパニック症などの病名を羅列してあるだけのことが少なくない。実は、発達障害の「二次障害」あるいは「二次的問題」には、明確に決められた定義や基準はない。しいて言えば、

発達障害を持つ人が、生活のなかで生じるさまざまな困難や周囲の不適切な対応のため、二次的な精神的問題を生じること

を指している。

 障害そのものに起因するのか、偶発的に起因したのかを区別することは難しい。

発達障害のなかでも特にASD患者は、学校や職場でもいじめ、虐待、ハラスメント、理不尽で過度な叱責によって自己肯定感が損なわれ、社会に対する過剰な不安や恐怖感をもっている。因果関係がつかめないので、叱責はトラウマ記憶として残りやすい。その上に本来のコミュニケーション能力の問題から、ヘルプを求めることができずに孤立し、うつや被害妄想をもつこともある。

 ASD患者では10歳の時点ですでに一般より抑うつのスコアが高く、18歳まで上昇傾向が続くことが近日報告された(2)。子どものころから抑うつという二次障害が生じ。成人になるまで、そしておそらく成人以降も、抑うつがひどくなっていく人が多いという厳しい現実を示している。追い詰められれば、今回の事件のような極端な行動を取る可能性もあるわけだ。二次障害は、「こじらせる」という俗な表現もネットなどでは見られる。念を押すが、うつや被害妄想などは、ASDの診断基準にはない。

 早いうちから正しい支援が受けられれば、あるいは本人の独自性が評価してもらえる環境にいれば、二次障害は生じにくい。しかし先述したような自尊心が傷つけられる過酷な状況では、うつや不安、恐怖、敵意、攻撃性など(二次障害)のほうが目立ってしまい、肝心のASD本来の症状(一次障害)に目が行かなくなってしまう。

 結果として、社会的評価は落ちてしまい、周囲からもますます不適切な対応が取られてしまう。ますます二次障害が悪化するという悪循環に入ってしまう。

 ASDが犯罪に走る要因は、ASDの障害特性ではない。むしろ、ASDの障害特性に対する周囲の無理解や不適切な対応によって「二次障害」が引き起こされ、そして「こじらせて」しまい、犯罪などの行動化を起こしている場合が多いと考えられる。

・参照:発達障害の「二次障害」と犯罪(西多昌規) – 個人 – Yahoo!ニュース
https://news.yahoo.co.jp/byline/nishidamasaki/20180616-00086534/

ASDの障害特性に対する周囲の無理解や不適切な対応」にといっていますが、貴方は、「ASDの障害特性に対する理解や適切な対応」とは、どんなことか、理解できていますか?

私の様に、関連の書籍を100冊以上、読んでいて、ある程度、頭では理解していたとしても、非常に難しいでしょう。

3.グレーな(濃淡の領域にいる)人なんて、たくさん居ます。 どう区別すれば良いのか?

1)問題は、普通の会社の中で、このような人をどう見分けて、どう対処するのかです。

このような人を、産業医にでも見せて、診断してもらわないとわかりません。 まして、グレーな人など、色々です。 グレーの人まで、含めてどう対応するのかです。

例え、上司が、部下に対して、「専門医に、お前診てもらえ」と言った時点で、周りからは、失礼な上司だと、言われてしまいます。

「変な奴」と云うレベルで、周りが「無知」のために、「専門医に、お前診てもらえ」と言った上司が、嫌われてしまうのです。

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こんなことは、一個人ができる事では有りません。

たとえ、そのような子を持つ親であっても、認識できる能力を有した親と、認識できない親もいるでしょう。たとえ、認識できたとしても、重大な事件を起してしまうことなど、誰が想像できるでしょうか?

「適切な処置をしていれば、この様な事にならなかったかも」と言いますが、「適切な処理とは何ですか?」

その濃淡の領域にいる人間が、陰惨な事件の実行犯となるとき、心の中では何が起きているのか?

著者は、「狂気と正常の間に、厳密な境界線は存在しない」と語ります。

一見、普通の人が残酷な事件を起こす不気味さに迫り、悪とは何かを考察するとなっていていますが、悪とは何か? と言うより、人間の、動物の本能、本性が、情動が、むき出しになった時の恐ろしさを忘れないようにする必要があるのではないでしょうか。

参考書籍

 

著者は、最後に

犯罪の軌跡を追う時に、「殺人者」は「わたし」や「あなた」で、「わたし」も「あなた」もまた「殺人者」となるのだ。

追記
2018年6月26日、
富山市の交番で、警察官が刃物で刺され死亡、拳銃を奪い逃走、近くの小学校の警備員に発砲して死亡させ、犯人は駆け付けた警察官に撃たれて重体。

またしても、この様な犯罪が発生してしまいまいた。


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