【書籍紹介】「発達障害」と言いたがる人たち (香山 リカ著) 自分のダメさ加減を「発達障害」のせいにして自分で納得したい

本日の書籍紹介は、「発達障害と言いたがる人たち」(香山 リカ 著)です。

先日、購入した「自閉症の世界」を読んでいる途中に、三省堂書店で平積みしてある新書を眺めていると、「香山 リカ」ちゃんの ”「発達障害」と言いたがる人たち” が、何となく目に留まり、購入して、暇でしたので1時間位で読んでしまいました。

これは、ある意味、日本の医療の現場でも、混乱、困惑している状況が見えてきます。

人の「脳」内のネットワークで起こっている症状ですので、何も見えません。 ただ、行動・言動から推測するしかないのです。

■「発達障害と言いたがる人たち」 香山 リカ(著)

– 目 次 –
1章 増加する「大人の発達障害」
2章 発達障害はなぜわかりにくいのか
3章 そもそも、発達障害とは何か
4章 発達障害が活躍する時代が来る?
5章 過剰診断という悩ましい問題
6章 発達障害はどこへ向かうのか
――――――――――――――――――――――

 

1.日本での現状認識

「香山 リカ」さんは、精神科の先生です。

診察にくる人の中に、自分は「発達障害」と言いたがる人たちが、居るそうです。

このこと自体が、私にとって衝撃的で、私の周りでは、誰一人として、「発達障害」について、ちゃんと理解している人など、皆無に近い状態だからです。

未だ、「血液型」で人の性格を判断している地球100周以上、周回遅れの奴らばかりで、まず、話にならないくらい、超低レベルなのです。

発達障害、愛着障害、人格(パーソナリティ)障害この3つくらい、ちゃんと認識すべき事柄ですが、ほぼ無理でしょう。 自分の脳について考察しようというレベルに、全く、達していない、小学生レベルの「自我」しか持ち合わせていないのです。

日本中、その程度のなかで、自分のどうしようもない、行動、情動などの特徴を単に自分が「だらしないのではない」という事を説明する為に、自分は「発達障害」ではないのか? と考えるには、まず「発達障害」の症状について、ある程度、学習しているのでしょう。

自分のダメさ加減を「発達障害」のせいにして、自分で納得したい。。。心根は、ちょっと浅はかですが、それでも「発達障害」をちゃんと知らないと、こんな事も言えませんので、それだけでも、まだ、ましです。 そして「障害がない」と言われて失望するそうです。

 

専門的な医療機関で診察してもらうのに、何カ月も待たないと、見てもらえない状況らしいのですが、これもまた驚きです。

「発達障害」の事などについて、何も知らない「無知」な国民が、大勢いる中で、認識している人たちが、これほど多くいる事に、驚きを覚えます。

「貧富の格差」以上に、「知の格差」も、今始まった事ではありませんが、そうとうなものがあり、驚くばかりです。

 

2.一番問題なのは、あなたは「発達障害」ですと言えるのは、どのレベルなのか?

グレーゾーンにいる方は、大勢います。何を持って「発達障害」なのか? そうではないのか? どのレベルから「発達障害」と認定するのか?

足が無い、腕が無い。。というのと違うのです。病院で検査して、血糖値の検査結果で、あなたは「糖尿病」ですと言う、指標が無いのです。

1)もう、こんんな、法律まであるのです。 知らない国民は、大勢いるでしょうね。

・発達障害者支援法(平成十六年十二月十日法律第百六十七号)
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/H16/H16HO167.html

長年にわたって福祉の谷間で取り残されていた発達障害者の定義と社会福祉法制における位置づけを確立し、発達障害者の福祉的援助に道を開くため、

  • 発達障害の早期発見
  • 発達支援を行うことに関する国及び地方公共団体の責務
  • 発達障害者の自立及び社会参加に資する支援

を初めて明文化した法律である。

・発達障害者支援法:ウィキペディア参照
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%99%BA%E9%81%94%E9%9A%9C%E5%AE%B3%E8%80%85%E6%94%AF%E6%8F%B4%E6%B3%95

この法律の考え方は、発達障害者が適応できないのは、周囲の工夫や配慮が足りない状況が原因で、それを社会の責任として問題解決を図るという考えです。

しかし、職場にも、発達障害者として認定されいない、「ダメ社員」は、必ず、1人くらいは存在します。 こんな人を、どう扱うべきなのか?

 

2)グレーゾーンの人たち

私の知っている限りでは、「発達障害」に近い、ADHD、ASDのグレーゾーンの人たちは、自分が、そうなのかどうかを自覚できる能力さえないように思います。

職場の中で、周りからどんなに「ダメ」なのかさえ、自分自身、自覚する事さえできていませんので、「困っている様子や、生きずらさ」さえ、自覚が無いのですから、「発達障害」と認定しない方が良いのか?

職場の場合は、金をもらって働いていますので、仕事ができないのを「発達障害」のせいにして、他の従業員と同じように働けなくても、それでいいんだとすると、「他の従業員たちが納得するのか」という問題もあり話を付けておくべきことでしょうが、何もありません。

関連記事
何年たっても仕事のできない「ADHD」女子社員。。ずっと放置されてきていますが、今更ですが、会社としては、どう扱うべきなのでしょうか?

 

  

 

 

追記

3.日本の場合、ちょっと、異常なところがあります。

「3.11」震災関連の事柄で、NHKの番組でしたが、日本は「精神病院」大国だそうです。

厚生労働省の調査によると、日本には8,605の病院があり、そのうち精神科病院は1,076と12.5%を占めています。

一般病院の精神科も加えたベッド数は34万4千で、ダントツ世界一です。

全世界にある精神病床の総数は約185万ですので、何と5分の1(18.6%)を日本が占めているのです。

今、世界で精神科に入院している患者の5人に1人は日本人、ということになります。わが国は世界No1の精神病大国なのでしょうか?

 

社会的入院が減らせない原因としては、障害のある人を親族が面倒をみなければならないことが大きな原因といわれています。

「臭いものにはふたを」という発想から、精神障害者を病院に預けて医療者に責任を丸投げし、みないでおこうとするのです。

社会的な偏見や、精神病院の経営問題も絡んでいる様です。

日本は精神病院が世界で一番多い国だった~患者の5人に1人は日本人
日本の精神病院の多さは世界一だったということをご存知ですか。世界にある精神病院の約5分の1を日本の病院が占めているのです。なぜこれほど日本には精神病院が多いのでしょうか?その真相に迫ってみたいと思います。

福島の原発付近にあった複数の精神病院の患者さんたちも、避難して、他の関連病院に入ったが、調査をすると、その中の大半の人は、入院する必要のない人が、大勢いて、ある病院の院長が、その人たちを元の生活ができる様に努力している姿を放映していました。

最近、日本でも「旧優生保護法」下の強制不妊の問題が問いただされていますが、ちょっと前までは、先進国の中にも、国策として「優生学」上、好ましくない人たちを迫害しているのは、歴史を調べればすぐに分かります。

北欧のスエーデンなどでも、過去に国策として実施していた歴史があります。

この様に、人類は、国家を形成するようになり、他国と戦う以外にも、国家の内側の人間さえも、劣っている理由で迫害する危険性を現在でもはらんでいる事を忘れないことです。

更に言えば、偏見や差別、被害は、「無知」から始まりますので。

 

4.日本人は、世界でも、睡眠時間の少ない民族の様ですが、脳の機能に大きく関係していますので、「睡眠」についても勉強しておいた方が良いと思います。

私のお客様の所で、訪問している時に、女性の先生が、種々の状況で「すぐ寝てしまう」症状が出ていて、上司は、その子に「病院に行ってきなさい」と言っているのに、何週間たっても、まだ行っていないようでした。

私が、その症状は「ナルコレプシー」じゃないの? と言っても、上司は、「ナルコレプシー」という意味も知らないらしく、ただ、困っていました。

私は、大事を取って、「業務命令で行くように言ったら」と言いましたが、上司はそのつもりで云ったとしか言いません。

業務中に症状が出たら、大変な事故につながる可能性が、有るのですが、ただの「睡眠障害」程度としてしか考えていませんので、切迫感が全然ないのです。

補足説明:ナルコレプシーとは
突然、気絶するように眠ってしまったり、気持ちが高ぶったときに全身の力が抜けて倒れ込んだりする症状が現れます。 原因は、脳内で「オレキシン」という脳内ホルモンが欠乏し、睡眠と覚醒をうまく切り替えられなくなるために発症する様です。1000人に1人が発症するといわれています。

補足説明:覚醒と睡眠
動物やヒトにとっては、睡眠の状態が「デフォルト」であり、視床下部外側野にあるオレキシン作動性ニューロンが覚醒システムを刺激することにより、覚醒状態が引き起こされ維持されているようです。 だから、欠乏すると「睡眠」状態に移行してしまう。

– 参考書籍:睡眠の科学 –

目次
第1章 なぜ眠るのか?
第2章 最新技術で探る「睡眠の正体」
第3章 睡眠と覚醒を切り替える脳のしくみ
第4章 睡眠障害の研究から生まれた大発見
第5章 オレキシンが明かした「覚醒」の意味
第6章 ヒトはどこまで睡眠をあやつれるか
第7章 睡眠に関する日常の疑問と、これからのテーマ
終章 なぜ眠るのか――私の仮説
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