【書籍紹介】 社会学史  大澤 真幸 (著) 「本物の教養は頭に染み込む」ほんとかな?

本日の書籍紹介は、社会学史  大澤 真幸 (著)です。

帯のタイトルに「本物の教養は頭に染み込む」と書いてありますが、これ一冊では無理です。

私も知りませんでしたが、なぜか、「社会学史」の本が、ほとんど無いのが現状だそうです。読んでみると分かりますが、「えっ、この人も社会学者」と思われる人もたくさん登場します。

経済学「マルクス」も、心理学「フロイト」も、哲学ミシェル・フーコー」も、実は社会学者なんです、と言っています。文化人類学者で構造主義を唱え、サルトルの「実存主義」を批判した「レヴィ・ストロース」も出てきます。

■「野生の思考」なんかは最高です。

野生の思考によれば、無意識のレベルの思考の構造(パターン)には普遍性があり、そこに進歩などないのです。近代人は古代人よりも深く多くを考えている、という思い込みは完全に否定されます。

これは、当時の「西洋人」と「未開の国の人たち」との比較でも、同じことだと言っています。

■脳科学的に言えば、
「脳」が使うエネルギーの内訳です。

・意識活動に5%
無意識活動に75%
・脳細胞の維持・修復に20%(睡眠時に実施しています)

人間って、すべて自分の意志で行動していると考えているなら、大きな間違いなのです。
行動は理性よりもはるかに、「喜び」「怒り」「悲しみ」「恐怖」などの「情動」に強く支配されているようです。

 

この様に、哲学、経済学、人類学などの小難しい書籍を多少なりとも読んでいる方なら、本書を読むと、「脳」の中で、一気に今まで得た知識が、繋がってくるでしょう。

この書籍は、「学史」として、まとめられていますので、当然ですが、今まで得た知識を元に、歴史的にも、どのように繋がり、影響を受け、どんな思想が、その時代に、どう受け入れられていたのかも分かるように書かれています。

 

■読書とは? と考えると。。。

一見、無駄なような「好奇心」を大きく育てることで、その先に何かが見えてくると思います。

更に、読書って、初級も上級も無いと思います。あるとしたら、世の中や、自分に対する「好奇心」の強さだけだと思います。文系、理系など関係なく、人間って何だろう? 自分は何者なんだろう?という疑問を持つことのできる「知的」レベルにあれば、好奇心が湧くでしょう。

つまるところ、自分は、「何者」なんだろう?。。。と思う「心」が有るか無いかです。

 

何とかの使い方など、実用的な書籍を読むのも良いのですが、それは自分の専門のスキルを身に付けることを目的とした「お勉強」でしょう。それは、黙って、こっそりと1人でお勉強しましょう。

しかし、一見、今、役に立たない様な「知識」を含んだ書籍(人類学、歴史、思想、脳科学、心理学、生物学、物理学、宇宙科学など)をたくさん読んでいると、例えば、頭の中で分散していた情報・知識が、たくさん書籍を読むことによって、点と点が繋がってくるが、実に、楽しいのではないでしょうか。

これが、「本物の教養は頭に染み込む」につながるのではないでしょうか。。。

具体的に、脳のメカニズムで云えば、
頭の中の「脳」と同じで、「ニューロン(脳細胞)」が「シナプス」で、ちゃんと繋がらないと、色々な情報を保存したり、再生したりする事もできないのと同じでしょう。保存してある情報が、色々な刺激や知識により脳内のネットワークで接続する状態なのでしょう。

書籍を例え体系的に読んでいなくても、バラバラでも色々なジャンルを読んでいれば、色々な繋がりが沢山あり、それを発見した時に、楽しいのですが、「社会学史」として、まとめてありますので、是非、その繋がりを発見する上でも、読んでみたい一冊です。

– 目 次 –
序 社会学に固有の主題

第1部 社会学の誕生 近代の自己意識として
1.古代の社会理論 アリストテレス
2.社会契約の思想 社会学前夜
3.社会科学の誕生
4.マルクス――宗教としての資本主義

第2部 社会の発見
1.フロイト 無意識の発見
2.デュルケーム 社会の発見
3.ジンメル 相互行為としての社会
4.ヴェーバー 合理化の逆説

第3部 システムと意味
1.パーソンズ 機能主義の定式化
2.〈意味〉の社会学
3.意味構成的なシステムの理論 ルーマンとフーコー
4.社会学の未来に向けて
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