【書籍紹介】 ADHDの正体: その診断は正しいのか  岡田 尊司 (著)

本日の書籍紹介は、2冊

ADHDの正体: その診断は正しいのか   岡田 尊司 (著)

もう一冊、
発達障害のウソ――専門家、製薬会社、マスコミの罪を問う 米田 倫康 (著)

なぜ、2冊紹介するかと云えば、著者が「ADHDの正体」は精神科医の先生ですが、「発達障害のウソ」はジャーナリストです。

たまには、このように、同じ様なコンテキストでも、立場が違う方の書籍を比較しながら読むのも良いものです。 まして、「脳」の機能障害に関する事柄ですので、ファクトはどこに? エビデンスはどこに? と、今まで自分が蓄えた知識を総動員して、社会状況を分析する為には、この2冊は必要な情報ではないかと考えます。

もちろん、脳科学、脳神経学、遺伝学、社会学、人類学も含めて、「人間って何者?」と考える機会になると思います。

人としてこの世に生まれて、暫くすると、自分と他人を認識して、手や足を自分のものとして認識して動かせるようになるのですが、大人になっても「自分は何者なんだろう?」と思わない奴は、結局、ヒト以外の動物とレベル的には同じなんでしょうね。

補足説明
ADHDとは、注意欠陥・多動性障害(Attention-Deficit/Hyperactivity Disorder = AD/HD)

心の病の歴史

中世の頃にも、精神を病んでいる人間は居たが、この様な人は「神から授かった子」として、排除されずに社会の中で生きてゆことができたそうです。そして18世紀になっても、たった1つしか「心」の病気しか存在しなかったそうです。「狂気」という病気だそうです。

そして、19世紀に「統合失調症(日本では2002年まで、精神分裂病と呼ばれていた)」が発見されたのを皮切りに、「狂気」は細かく分類されはじめたようです。

昭和時代の精神科医は、3つか4つの病名に分類できれば、だいたい間に合ったらしい。
統合失調症、躁うつ病、神経症の3つ、あるいは、癲癇(てんかん)を加えて4つだそうです。

現代社会では、「発達障害」、「パーソナリティ(人格)障害」、「愛着障害」、「統合失調症」、「躁うつ病」など色々な分類名があり、さらに細分化されて、「発達障害」云えば、自閉症スペクトラム障害(ASD、いわゆるアスペルガー障害を含む)も、注意欠陥多動性障害(ADHD)、LD(学習障害)など、欧米の精神医学会などから付けられて発表されています。

精神医療の限界とは

発達「障害」と言って良いのか。。疑問に思う事も多々有りますが、外科や内科の医者と違い、精神科医と言うのは「いい加減」とは言いませんが、結局の所、他人の頭(脳)の配線を診断するという意味においては、心臓や内臓、血管、がおかしいというのと違って、分からないことだらけで、私の様に医者の資格を持っていない人間でも、研究すれば、大して勉強していない精神科医の先生と、知識レベルも大して変わらないように思います。

手術をして治す様な病ではありませんので、増してや、検査器具も使いませんので、診察ではなく、観察しようと思えば、誰でもできるのです。しかし、そこまでです。

発症のメカニズムには、「遺伝的な要因」と、養育環境など社会的な「環境の要因」が有ると言われていますが、その切り分けもまだできていないでしょう。

社会が変化してくると、社会の「階層」の違いにより、子供をちゃんと養育することのできない親も多数発生している状況で、これが続くと親子代々の連鎖にも繋がってくるでしょう。

脳は分からないことだらけ

脳は、約1千億個の脳神経細胞と約100兆個のシナプスでネットワークを構築しています。基本はデジタル信号ですが、信号がダイレクトに伝達しないように、シナプス間で、脳内ホルモンを使い、情報の伝達の強弱をつけて、情報を転送しています。 そして、この仕組みを支えているのが、グリア細胞です。

脳外科の手術の様に、腫瘍などの切除作業はできるでしょうが、「脳神経ネットワーク」をつなぎなおしたりすることは、今の医学でも不可能でしょう。

過去にロボトミーなどがありましたが、脳の精神疾患は外科手術では直せないのです。

私の様な素人でも、「診療」行為は出来なくても、暮らしの中で、嘘偽りのない、そのような症状の人を、つぶさに観察できる立場にもあります。 めんと向かい合って詐称することもできない、普段通リの関わり合い中で、相手を観察できます。

脳神経学、脳科学、「発達障害」、「人格障害」、「愛着障害」などを学んでいると、私には幽霊は見えませんが、世の中には似た症状の人間が、結構の確率で存在しているのが分かります。

更に言えば、少なくても、下記の2冊にも書かれていますが、薬を売りたい製薬会社から金を貰うために、すり寄り、余計な薬を処方することも無い立場にあります。

「人工知能」を研究するなら、まず「脳科学」です。

人間の脳ですので、脳科学、脳神経学と言っても、未だに分からない事だらけで、研究の進み方が、とてつもなく遅いのですが、高性能な「人工知能」を研究したいのなら、まずは、脳科学、脳神経学でしょう。 「脳細胞」の研究に比べ、「グリア細胞(アストロサイト)」の研究が特に遅れています。

もし、人間の様な、「人工知能ロボット」ができるかどうかは、決して「ソフトウエアの開発」ではなく、数十年後「シュンギラリティ」が来る為には、脳科学、脳神経学で、人間の脳の仕組みが解明ができるかどうかにかかっていると思います。

そうでなければ、旨くプログラミングされた、人間の仕事を手伝う程度のただのロボットでしょう。

ただ、最近は、人間の方が、人間との接触を避けるような行動を取るようになってきていますので、感情も何も無い、ポンコツ「ロボット」で間に合うのかもしれません。

ADHDの正体: その診断は正しいのか

目次
第一章 緩められる診断基準
第二章 「大人のADHD」は発達障害ではない?
第三章 矛盾だらけの「ADHD」
第四章 症状診断の危うさ
第五章 薬漬け治療の実態
第六章 覆った定説
第七章 見えてきた発症メカニズム
第八章 苦しみの真の原因は
第九章 回復と予防のために
————————————–

医療現場で活動している先生の中で、岡田先生の書籍を多数読んでいますが、これも素晴らしい一冊です。

分からない事に対して、常に「本当にそうなのか?」という疑問を、持ちながら、研究されている様子が伺えますので、安心して読んでいられます。

先生の場合、「簡単に決めつけない」、おかしい、「もっと他に原因があるのでは」と常に、色々な状態を探る心が有ります。

発達障害と一言で言っても、ADHD、ASD、LDばかりでなく、そして「愛着障害」、「人格障害」についても研究されていますので、今まで、遺伝的な要素が強いとされてきたものも、生後の養育環境んにより、発症する可能性も診ています。

いつも思うのですが、生後の3歳くらいまでは、養育環境って、ものすごく、幼児にとって大切で、一生を左右する、将来、幸福に暮らす為の人間を形作る時期ですので、親も狂っていれば、子供も影響を受けてしまう。

結婚もできない奴、結婚する気もない奴、結婚して子供ができてもすぐ離婚してしまう奴、両親が居ても子供をちゃんと養育することができない親、子供を虐待する親。

子供は社会の「宝」と言っておきながら、ろくでもない親に、平気で子育てをさせる社会。

自己責任論で子供を守れない、守るのが難しい社会、みんな半径5m以内の自分の事で精いっぱいの社会。

戦争は無いけれど、不幸の人数が、少数だと、社会は何事も無かったかのように時は流れてゆきます。

発達障害のウソ――専門家、製薬会社、マスコミの罪を問う

目次
はじめに 発達障害はまだほとんど解明されていない
第一章 発達障害とは何か?
第二章 「うつ病キャンペーン」で起こった「うつ病バブル」
第三章 作られた「発達障害バブル」
第四章 被害に遭う子どもたち
第五章 大人の発達障害流行の裏側
第六章 簡単に信用してはいけない精神医療業界
第七章 発達障害ブームにどう立ち向かうか
—————————————————

別の立場から、精神医療に疑問符を投げかけています。

彼の云う、「バブル」、「ブーム」は、ほんの一部の人達の話でしょう。本書の様に医者と製薬会社だけで騒いでいるだけでしょう。

医療現場の精神科に予約を入れても、診てもらうまで何か月もかかると言われていますが、そんなの一部のお話です。 全然、流行っていません。

なぜなら、一般の国民は、ほぼ、「発達障害」などという「精神疾患」の事など、「無知」の極みでしょう。

日本では、未だに「血液型」で性格を判断している低レベルの国民が大多数を占めている社会では、言葉だけで、何も知らないのと同じです。

何も知りませんし、当事者でも、被害者でもなければ、自分の「脳」の事など、考えるレベルに有りません。

「あいつ、おかしい」。。。このレベルでしかありません。

どんな風におかしいのか? そんな事、他人事ですので、永遠に「無知」のままです。

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