「サイコパス」とは、どのような脳をした生き物なんだろうか? 脳の機能がどうなっているのか、内面を探ってみました。

2021-03-15、
サイコパスとは、どのような脳をした生き物(確かに人間?)なんだろうか? 症状、振る舞いは、書籍やサイトでも解説されているが、人は自分が被害に合わないと、知ろうともしないし、認識さえできない人も多々います。

どうして、普通の人間とは、なぜ、大きく違う、行動、物の考え方ができるのか、脳の機能がどうなっているのか、内面を探ってみました。 逆な言い方をすれば、人は、世間の中で、無意識/意識下でどう考え、どう行動してしまうのかも、良い悪いは別にして、「ヒト」について理解できるのではないかと思います。

1.「サイコパス」の概要と定義

1)まず、「サイコパス」とは、

古い映画ですが、アンソニー・ホプキンスが演じる映画『羊たちの沈黙』のハンニバル・レクターみたいな人間だけが、サイコパス、連続殺人犯(シリアルキラー)だけとは、限らないのです。

暴力的犯罪は、サイコパスの必須条件ではありません。犯罪に手を染めないサイコパスは、政治家、経営者として成功する例もあるのです。

世の中で、殺人は犯さないが、物の捉え方、考え方や、同じような行動をする奴も、「サイコ パス」と言われるのはそのためです。

精神障害の診断と統計マニュアル』(DSM)によるパーソナリティ(人格)障害の分類にも、サイコパスという言葉は出てきません。

脳の機能不全で云えば、発達障害、愛着障害パーソナリティ(人格)障害などがありますが、その中のことはパーソナリティ(人格)障害の分類の中に「反社会性パーソナリティ(人格)障害」という分類があり、それにあたります。 「サイコパス」、「ソシオパス」とも言われます。

パーソナリティ(人格)障害は、アメリカ精神医学会によって10種類に分類され、更に、大きく3つのグループに分類され、サイコパスはB群に属します。

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A群(クラスターA)、奇異型
妄想性パーソナリティ障害、スキゾイドパーソナリティ障害、統合失調型パーソナリティ障害

B群(クラスターB)、劇場型
反社会性パーソナリティ障害、境界性パーソナリティ障害、演技性パーソナリティ障害、自己愛性パーソナリティ障害

C群1(クラスターC)、不安型
回避性パーソナリティ障害、依存性パーソナリティ障害、強迫性パーソナリティ障害
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特徴
犯罪心理学者のロバート・D・ヘア博士によると、サイコパスは、下記の7つの特徴を有する。

一般的には良心、罪悪感、道徳観念、倫理観の欠如、自分以外の人間に対する「愛情」「思いやり」などの感情が著しく欠け、極めて自己中心的に振る舞う傾向にある。

(1)良心が異常に欠如している
なんのためらいもなく嘘をつくことができます。他者に対してある程度の感情移入や同情心をほぼ持たない。

(2)他者に冷淡で共感しない
他人に感情移入をすることができないので、感動して涙を流すことも無い。但し、自分を有利に持ってゆく、心は最大限持っている。 つまり「認知的共感力」は持っているが、ヒトを利用するために使う。 しかし「情動的共感力」がほとんどないのです。

(3)慢性的に平然と嘘をつく
息を吐くように嘘をつける、嘘をつくことへの良心の呵責など全く無い。

(4)行動に対する責任が取れない
自分が何か間違ったことをしたときや、もしくは、そもそも自分に非があったことを認めるのは非常に難しい。そのため自分自身がしたことで、他人にバレていようとも、特定の行動に対する責任を否認する傾向にある。

(5)罪悪感がまったくない
平気で友だちの彼女に手を出したり、友人を裏切ったりします。他人の気持ちが理解でず、自己中心的な行動をとります。

(6)自尊心が過大で自己中心的
付き合っていて、別れる場合はゆっくりと冷却期間を置く必要があります。急な別れは、相手を逆上させてしまいます。

(7)口が達者で表面は魅力的
自己中心的で、頭の回転が早く、競争を好むため、論理的な思考回路を持っている。

浮気、DVを平気で繰り返す男などは、ほぼ、「サイコパス」でしょう。

冷淡ではないが、「他者に共感しない」と云う部分は、ADHD、ASD(アスペルガー症候群)と共通する部分も有ると思います。 心の中に「自分」しかいないのです。

アメリカ精神医学会の「精神疾患の診断・統計マニュアル第5版(DSM-5)」では、次の特性のうち、3つ以上あてはまると「反社会性パーソナリティ(人格)障害」と定義される。

1. 日常的に法を犯す、または法を軽視している
2. つねに嘘をつき、他者を騙そうとする
3. 衝動的で計画性がない
4. けんか腰で攻撃的
5. 他者の安全性についてほとんど考慮しない
6. 無責任で、金銭的にルーズ
7. 良心の呵責や罪悪感がない

2)社会的な位置づけ

パーソナリティ(人格)障害」は、単に性格の問題では無く、「生まれ持っての脳の特性」、「幼少期のトラウマ」、「劣悪な環境」、「育て方」に影響を受けていると云われていますが、いまだ、はっきりと原因や因果関係が分っていないのが現状です。

サイコパスは異常であるが病気(精神病)ではなく、ほとんどの人々が通常の社会生活を営んでいる。

そのため、現在では精神異常という位置づけではなく、パーソナリティ障害(人格障害)とされている。そのため、日本では「反社会性パーソナリティ(人格)障害」と名称されている。

法的にも、精神異常として認めてしまうと、犯罪を犯した時に、法的に罪を問えなくなりますので、「精神異常者」としいては扱われない様です。つまり、法律上は「心身喪失」状態とは認められないのです。

2.サイコパスと普通の人間との本質的な違いは?

ここまで、記載しても、多分、特徴は理解できるでしょうが、なぜ、同じ人間なのに、こいつらは違うの? という部分が理解できないのです。 まして、実際に被害に合わないと、存在さえも分からないでしょうが、認識していないと、大きな被害に合う可能性も高いのです。

1)恐怖心という感情

普通の人は、この状態になった経験が無いので、想像するしかないのですが、もし、自分自身の感情の中で、「恐怖心」が、なくなったらどうでしょう。

よーく、考えて、想像してみて下さい。

生きてゆく中で、「恐怖心」がなくなったら、何も怖くないので、何でも出来ますよね。 とにかく、物理的にも、感情的にも、怖くないのですから。

普通の人間社会でも、退屈しのぎに、ジェットコースーターに乗って、わざと、怖い思いをして、楽しみますよね。 それは、絶対に乗っている時に、事故が起きないということを前提にして楽しんでいます。

普通は、どんな人間にも「恐怖心」は有ると断定したいでしょうが、サイコパスは、「恐怖心」自体を感じる配線が働かないのです。脳内の血流を測る検査をしても、血流が普通の人より流れていないのです。 構造的に、脳の部分が働いていないのです。

良心、罪悪感、道徳観念、倫理観の欠如もすべて、この恐怖心に影響されているでしょう。

嘘を付いても、平気なのは、後からバレても、罪悪感も無いのは、怖くないからでしょう。

人間の持っているこの感情は、自分が不利な状況にならないための心のあり方で、恐怖心がなければ、「良心、罪悪感、道徳観念、倫理観」などを無視して何でも出来てしまうでしょう。

2)人間の感情として、「恐怖心」が無いということは、どういうことなのか?

脳科学的に言えば、
脳の部品の中で、恐怖を司る部位は、「扁桃体」と呼ばれている機能部品です。

扁桃体」は、感情の中枢で、恐怖、怒り、悲しみ、愛情といった初期情動を司り、衝動や攻撃性のコントロール役も果たしている。 トラウマ、PTSDも扁桃体の異常です。扁桃体から、恐怖の感情が溢れ出て、止まらないのでしょう。

これも、知らない方がほとんどでしょうから、ちゃんと覚えておいて下さい。

制御のメインとなる大脳の前頭前野と側坐核と扁桃体、海馬の折り合いがつかないと、「バケモノ」と言われる「脳」の状態になってしまうでしょう。

人間は、大脳の前頭前野、側坐核( 報酬、快感、嗜癖、恐怖)、眼窩前頭皮質(意思決定)、大脳辺縁系の海馬(一時記憶)、扁桃体(恐怖、怒りなどには、それぞれ特定の機能あり、お互いに連携を取りながら、社会的に生きてゆくための行動・衝動のコントロールをネットワーク通信を脳内ホルモンを介して、グリア細胞のバックアップの元に、機能しているのです。

そこで、「扁桃体」だけではないが、いかれてしまう、元々正常に機能していないと、
人間の行動が、統制が取れなくなり、「バケモノ」のような振る舞いをしてしまうのです。

「バケモノ」と言いましたが、未開の原野の中で、一人ぼっちで生き抜くには、逆に、「バケモノ」でなければ、生き残れないのです。

人間は、自分の意思だけで、動いて、行動していると思っているなら、大きな勘違いです。

「意識」下で使われているエネルギーは数%、「無意識」で使われているエネルギーは75%もあります。

配線がおかしいのか、配線はつながっているが情報を伝達する物質(脳内ホルモン)の出が悪いのかは、知りませんが、恐怖の感情が湧いてこないのです。

「怖いもの知らず」の状態になれば、自分自身の生存を無視して、何でもやってしまうでしょう。 怖くないんですから。 ブレーキの無いクルマで、アクセルを踏み込んでいるようなものです。

普通の人間は、社会的な生き物ですので、何か悪いことをすれば「」が下ると言うことを知っていますので、悪事をしない方向に向きますが、サイコパスは、そんな心は、一切ないのです。 だって怖くないのですから。

だから、悪いこと、人がやらないことを平気で、むしろ、楽しむように実行してしまうのです。

「恐怖心」という感情を持っていないという事を理解することが出来無いのでしょうが、恐怖心が無ければ、何でもできちゃうのです。 みんな、サイコパスも恐怖心を持っていると勘違いしている。

平気で嘘をつける理由は、
例えば、普通の人が嘘をつく場合、バレたらどうしようという心理的圧迫にさらされ、どうしても表情や態度に不自然さが出てきます。でもサイコパスは「恐怖心」がないので、バレたら困るなんて微塵も考えませんので、まったくの平常心で嘘がつけてしまうのです。

3)普通の人間が、サイコパスに惹かれる理由

共感の種類と障害による違い

ヒトが、生れつき、あるいは幼児期からの発達段階に、「脳」が阻害されると、共感することを欠如するようになる場合がある。また、共感には2種類ありますが、一般的に男性は、女性より共感性の中でも、情動的共感が低い傾向があります。

共感は、2種類に分類されていります。
認知的共感(:cognitive empathy)
情動的共感(:affective empathy)

2つの違いについて

認知的 共感 情動的 共感
相手の思考や感情を「知的に認識することができること」 相手の思考や感情に対して「情的に繋がって、自分の事のように反応できること」
職業としては、
企業経営者、弁護士、外科医、救急隊員、警察官、自衛官、消防隊員、取締官などです。情的にはタフな職務なので、感じやすい人には務まりません。職業によっては「情動的共感」はほどほどで、「認知的共感」が優れているほうが耐えられるものがあります。
職業としては、
保育士や幼稚園教諭、福祉士、介護士、看護師、カウンセラー、芸術家、職人、ヘアースタイリスト、接客、客室乗務員などには「情動的共感」のほうを多く求められます。優しい心の繋がりや感性のほうが重要な位置を占める職務です。
分析力・洞察力は優れているけれど、冷たい人 トンチンカンな理解をするけれど、とにかく情に厚い人
自閉症者は、認知的共感は弱い

サイコパスは、共感する心がないと言われているが、むしろこの感情は分かるのです。分かるから「偽装」できるのです。

「認知的共感」を「偽装」できて「情動的共感」が弱い人の中には、詐欺師や犯罪者、冷血な統治者もいます。

サイコパスは、情動的共感が弱い自閉症者には、認知的共感は弱いが、この「情動的共感」は、よい環境で育っていれば、ちゃんとある。

ここで面白いことが、分かります。

自閉症傾向の強い人「ASD:自閉症スペクトラム症」、人格障害で云う「自己愛性人格障害者(通称サイコパス)」の特性です。

ASDとサイコパスの違い
自閉症者(ASD:自閉症スペクトラム症、アスペルガー症候群も含む)には、認知的共感は弱いが、この「情動的共感」は、よい環境で育っていれば、ちゃんとある。

反社会性人格障害者(通称サイコパス)の場合は、「情動的共感」が無く、共感する心がないと言われているが、むしろこの「認知的共感」あるのです。分かるから「偽装」して人を騙せるのです。「認知的共感」を「偽装」できて「情動的共感」が弱い人の中には、詐欺師や犯罪者、冷血な統治者もいます。

正常な人間なら誰しもが持っている、共感能力がないのですと言っても、サイコパスの場合は、「認知的共感力」をちゃんと、利用することができるのです。

基本的に「孤独」だが、目的の為には、雄弁で、人に絡んできて、人に自分をよく見せようとする行為が、うまくできてしまう事だと思います。目的があるので人に中に入り込む能力を持っている(長続きはしないが)。

▮特定の職種において、サイコパスの特徴がみられやすい傾向にあるという結果が出ている。
「サイコパスが多い職業」トップ10とは?
・企業の経営者
・法律家
・TVタレント
・セールスマン
・外科医
・ジャーナリスト
・警察官
・聖職者
・シェフ

▮米国の元大統領トランプの場合、アメリカ精神医学会では「サイコパス」だと診断しているが、

精神医学の規範である診断マニュアル(DSM)の編集委員長も務めたアレン・フランシス博士は、安易な診断を下す人々を批判しています。

トランプの自己愛は強烈で、常に賞賛を求め、共感がなく、搾取的で、傲慢だが、本人が精神的苦痛を感じていないので「自己愛性パーソナリティ障害」では断じてないと否定し、自分が書いたマニュアルをちゃんと読みなさいと仰ってます。

この「本人が精神的苦痛を感じていない」というこの事こそ、「自己愛性パーソナリティ障害」ではなく、「サイコパス(反社会性パーソナリティ障害)」だと言っている様な気がします。

よく、発達障害、人格障害、愛着障害もそうですが、「本人が精神的苦痛を感じていない」のなら問題ないと云う精神科医が居ますが、精神的苦痛を感じていないからこそ、問題なのではないでしょうか。

この辺は、「ニューロダイバーシティ(神経構造の多様性)」に関わる問題でもありますし、長くなりますので止めておきます。

最後に、

人間とは、実に不思議なもので、ホモサピエンスが共有しているであろう「心」のありようが違うと、とんでもない「バケモノ」として存在する事になるのですが、人類学的にいって、このような人間が、いつの時代にも存在していて、排除され、淘汰されないのは、なぜなのでしょうか?

「狩猟採集」の時代では、危険を避けていれば獲物を捕ることができず、飢え死にするから、恐怖を感じる、ぎりぎりのところまでは危険を冒し、狩りをすことが生存のための必須条件でした。これは、強力な本能で、いまだに人間の精神に根深く残っているのでしょう。そのため、現代人も恐怖が足りないと退屈し、ホラー映画を観たり、絶叫マシンに乗ったりするのはこのためなのでしょう。

報酬を得るため嫌々恐怖に耐えるのではなく、こっちから金を払って無意味に適度な恐怖を体験して喜んでいるような事も、正常な「脳」をしていても、退屈しのぎをしているのです。

野生動物に近寄れば、恐怖を感じるが、このような「バケモノ」が傍に居ても一見しただけでは、怖くないでしょう。

人間が持っている色々な感情が無いが、それが見えないので始末が悪いのです。

本物の「シリアルキラー」、「サイコパス」に出会ったとしても、他人に依存する傾向の強い人間は、逃げることが非常に難しいでしょう。こんな奴と気が付いた時には、もう取り込まれて、後の祭りです。

「口の上手い、一見、良い人には十分注意です」と云っても、騙される奴は騙されるのは、そのせいです。

思うに、家族単位で生活していた「狩猟採集」時代は、このような「サイコパス」と云うか、野生動物の様な感情/衝動で良かったが、農耕が発達して集団で生活するようになると、これを「脳」で抑え込まないと社会の中で生きて行けないので抑制されるように脳が機能しているが、この抑制が働かない「バケモノ」が、いつまでも生き残って淘汰されないでいるのは、「人間」も、所詮「動物」ですので必然なのかもしれません。

参考書籍

  

  

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