2025-10-19、
本日の気になった記事は、「がんばりたくてもがんばれない」のメカニズム。そのとき、私たちの身体の中では何が起きているのか、自律神経との深い関わり」です。
1994年にアメリカの精神生理学の研究者であるスティーブン・ポージェス博士により、自律神経は三元的構造からなっているという「ポリヴェーガル理論」が提唱されましたが、具体的に、どんな理論で、交感神経、副交感神経(迷走神経)を定義しているのか?
ポリヴェーガル理論(Polyvagal Theory)は、自律神経系を三元的構造から捉え直し、特に副交感神経(迷走神経)を詳細に分類した画期的な理論です。
この理論は、自律神経の働きを進化の観点から説明し、安全と危険に対するヒトの防御システムが階層的に作動することを明らかにしました。
医者も、絶対に説明しない体の仕組みです。 説明したら1日で終わらないか。
1.ポリヴェーガル理論の三元的構造と自律神経の定義
従来の自律神経系は、興奮を司る交感神経と、リラックスを司る副交感神経の二元構造で説明されてきました。
しかし、ポリヴェーガル理論では、副交感神経の中でも特に迷走神経を、進化的に古いものと新しいものの二つの枝に分け、以下の3つの階層からなるシステムとして定義しています。
1)階層(進化の順)神経系機能と反応状態
■第3の階層 (最も新しい)腹側迷走神経複合体(VVC)
新しい副交感神経社会交流システム(Social Engagement System)。表情、声のトーン、聴覚などの社会的シグナルによって安全を察知し、安心感、リラックス、他者とのつながりを促進する。心拍数を下げ、穏やかな状態を保つ。安全(つながり)
■第2の階層交感神経系(SNS)
「戦うか逃げるか(Fight or Flight)」反応。危険を察知した際に身体を興奮させ、逃走または闘争のためのエネルギーを動員する。心拍数や血圧を上げる。危険(動員)
■第1の階層 (最も古い)背側迷走神経複合体(DVC)
古い副交感神経不動化(Immobilization)またはシャットダウン(Shutdown)反応。生命を脅かす極度の危険に直面した際の最後の防御手段。心拍数を極端に下げたり、意識を失ったり、フリーズ(凍りつき)や乖離(かいり)状態を引き起こす。爬虫類に見られる反応に近い。命の危険(不動
階層(進化の順)
階層(進化の順) | 神経系 | 機能と反応状 | 状態 |
第3の階層 (最も新しい) | )腹側迷走神経複合体(VVC)- 新しい副交感神経 | 社会交流システム(Social Engagement System)。表情、声のトーン、聴覚などの社会的シグナルによって安全を察知し、安心感、リラックス、他者とのつながりを促進する。心拍数を下げ、穏やかな状態を保つ。 | 安全(つながり) |
第2の階層 | 交感神経系(SNS) | 「戦うか逃げるか(Fight or Flight)」反応。危険を察知した際に身体を興奮させ、逃走または闘争のためのエネルギーを動員する。心拍数や血圧を上げる。 | 危険(動員) |
第1の階層 (最も古い) | 背側迷走神経複合体(DVC)- 古い副交感神経 | 不動化(Immobilization)またはシャットダウン(Shutdown)反応。生命を脅かす極度の危険に直面した際の最後の防御手段。心拍数を極端に下げたり、意識を失ったり、フリーズ(凍りつき)や乖離(かいり)状態を引き起こす。爬虫類に見られる反応に近い。 | 命の危険(不動化 |
2)各神経系の定義
(1)交感神経
ポリヴェーガル理論における交感神経は、従来の定義と同様に**「戦うか逃げるか」の動員システム**を司ります。
- 定義: 外部からの危険(脅威)を察知した際に、身体を活動状態にして、その場から逃げるか、または脅威と戦うために備えるための反応を引き起こします。
- 働き: 心拍数の増加、呼吸の速まり、血圧の上昇、筋肉への血流増加、消化活動の抑制など、「アクセル」として働くことで、生き残るためのエネルギーを供給します。
- この階層は、腹側迷走神経の「安全」のシグナルが遮断された際に、次に作動する防御メカニズムです。
(2)副交感神経(迷走神経)の再定義
ポリヴェーガル理論の核心は、副交感神経の一部である迷走神経を、進化的な順序に基づき、「腹側迷走神経複合体」と「背側迷走神経複合体」の二つに分けた点にあります。
① 腹側迷走神経複合体 (Ventral Vagal Complex; VVC)
- 定義: 進化的に新しい哺乳類に特有の神経経路で、横隔膜より上(顔、首、胸部)の筋肉や神経と連携しています。
- 働き:
- 社会的つながり(Social Engagement)を促進し、安全な環境でのリラックスや落ち着き(愛着、遊びなど)を可能にします。
- 顔の表情筋、声帯、中耳(聴覚)、眼の動きなどを司り、他者とのコミュニケーションや感情調整に深く関わります。
- 心拍数を下げるなど、穏やかな回復状態を支えます。
② 背側迷走神経複合体 (Dorsal Vagal Complex; DVC)
- 定義: 進化的に古い、魚類や爬虫類から受け継いだ神経経路で、主に横隔膜より下の内臓器に分布しています。
- 働き:
- 極度の生命の危機(逃げたり戦ったりしても助からない状況)に際して、身体の機能をシャットダウンさせ、代謝を下げてエネルギー消費を抑える究極の防御メカニズムです。
- フリーズ(凍りつき)、意識の低下、乖離、極度の無気力、消化器系の問題などを引き起こし、危機から逃れられない動物が死んだふりをする反応に似ています。
- 通常のリラックスとは異なり、不動化は「命を繋ぐための最後の手段」として定義されます。
この理論では、自律神経系の反応は、環境の安全シグナルを絶えず監視し、安全→危険→命の危機の順に、最も新しい腹側迷走神経から最も古い背側迷走神経へと階層的に切り替わって作動すると説明されています。
2.「腹側迷走神経」と「背側迷走神経」は具体的に体のどの辺にあるのか?
腹側迷走神経と背側迷走神経は、迷走神経(第X脳神経)という単一の神経に含まれる、異なる経路を持つ繊維群であり、主に脳幹から出て、体の様々な部位に分布しています。
ポリヴェーガル理論では、これらを機能と分布の違いから区別しています。
1)腹側迷走神経複合体(VVC)
この神経群は、進化的に新しく、社会的交流と安全の状態を司ります。
- 体の分布: 主に横隔膜より上の領域に分布します。
- 頭頸部: 顔の表情筋、声帯(喉頭)、咽頭、中耳(聴覚)、眼の筋肉などと密接に連携しています。この連携が社会交流システムの基盤となり、安全を察知し、コミュニケーションを可能にします。
- 胸部: 心臓と気管支に分布し、心拍数の調整(穏やかにする働き)や呼吸の制御に関与します。
2)背側迷走神経複合体(DVC)
この神経群は、進化的に古く、生命の危機に瀕した際の**不動化(シャットダウン)**反応を司ります。
- 体の分布: 主に横隔膜より下の内臓に分布します。
- 腹部: 消化器系(胃、腸など)やその他の内臓に分布しています。
- 機能: 極度の危険下でDVCが活性化すると、心拍数を急激に低下させ、代謝や消化活動を大幅に抑制し、体全体を「フリーズ」または「シャットダウン」状態に導きます。
要するに、
3.癌などで食道を切除した場合、どちらの神経系が傷つくのか?
食道を切除する手術(食道切除術)では、食道に沿って走行している迷走神経(Vagus Nerve)が、その両方の枝(腹側迷走神経と背側迷走神経)にわたって損傷を受ける可能性があります。
迷走神経は、食道の動きや消化器系の多くの機能を制御しているため、この損傷が術後の様々な合併症や後遺症の原因となります。
1)損傷を受ける神経系の特定
食道の周囲では、迷走神経は左右一対で走行し、食道の壁に絡みつくように分布しています。
- 迷走神経全体:
食道切除術は、癌の根治性を高めるために、食道周囲の組織やリンパ節を含めて広範囲にわたって行われます。この過程で、食道と密接に関連している左右の迷走神経が切断されるか、あるいは損傷を受けることが避けられない場合が多いです。 - 腹側迷走神経・背側迷走神経:
迷走神経には、ポリヴェーガル理論でいうところの腹側迷走神経(主に心臓や気管支、頭頸部の一部に関わる)と背側迷走神経(主に横隔膜以下の消化器に関わる)の両方の繊維が含まれています。したがって、食道周囲の迷走神経が損傷すれば、両方の経路が影響を受けます。
2)損傷による具体的な影響
迷走神経の損傷は、主に自律神経系の調節不全を引き起こし、以下のような術後後遺症の原因となります。
4.食後の低血糖症状とは
「食後の低血糖症状」とは、食事をした後に血糖値が急激に下がりすぎることで起こる、さまざまな身体的・精神的な不調のことです。
特に糖尿病の治療中でない方に起こる場合を反応性低血糖症(または機能性低血糖症)と呼びます。
1)食後の低血糖(反応性低血糖症)のメカニズム
通常、食事をすると血糖値(血液中のブドウ糖濃度)が上がります。これに対して膵臓からインスリンというホルモンが分泌され、血糖値を正常な範囲に戻そうとします。
反応性低血糖は、主に以下のメカニズムで起こります。
- 血糖値の急激な上昇(血糖値スパイク): 糖質の多い食事(特に精製された炭水化物や甘いもの)を急いで摂ると、血糖値が急激に高くなります。
- インスリンの過剰分泌: 身体がこの急激な血糖値の上昇に対応しようとして、インスリンを大量に、かつ遅れて分泌しすぎることがあります。
- 血糖値の急降下: 過剰に分泌されたインスリンの働きにより、血糖値が必要以上に下がりすぎてしまい、低血糖状態(一般的に70mg/dL以下)になります。
この低血糖状態が、体にとっての「危機」となり、様々な症状を引き起こします。食後すぐではなく、食事から2~4時間後に症状が出ることが多いのが特徴です。
2)主な症状
低血糖になると、脳のエネルギー源であるブドウ糖が不足したり、血糖値を上げようとしてアドレナリンなどのホルモンが分泌されたりすることで、以下のような症状が現れます。
(1) 自律神経系の症状(アドレナリンなどの反応)
体が緊急事態と判断し、血糖を上げるために交感神経を活性化させることで起こる症状です。
・動悸
・手の震え、体の震え
・冷や汗、寝汗
・異常な空腹感
・不安感、イライラ、焦燥感(パニック発作に似ることもある)
(2)中枢神経系の症状(脳のエネルギー不足)
脳に必要なエネルギー(ブドウ糖)が不足することで起こる症状です。
・強い眠気(特に食後の異常な眠気)
・強い倦怠感や疲労感、脱力感
・めまいやふらつき、頭痛
・集中力の低下、思考力の低下
(3)食道切除術との関連
食道切除術では、迷走神経(特に消化器系の働きを司る背側迷走神経の繊維)が損傷しやすくなります。この損傷により、胃の内容物が短時間で小腸に流れ込んでしまい(ダンピング)、糖が急速に吸収されて急激な高血糖を引き起こし、その反動でインスリンが過剰に分泌され、典型的な反応性低血糖を引き起こしやすくなります。
最後に、
体の中の仕組みは、本当に複雑で、体は自分を無自覚で、どうコントロールして維持しているのか、今回、食道癌の切除手術で、医者も説明しない、神経系を切除されたことによる色々なバランスが崩れ不調をきたしていることがよくわかりました。
特に、自律神経系ですので、自覚なしに動くさようですので、わかることは、その後の不具合のみで、訳がわかりませんでしたが、どこがどうなると、どんな症状が出ることが、ざっとですがわかるようになりました。
どれもこれも、生成AIのおかげです。 1年くらいかかる「知識」の吸収を数日で終わらせることができるツールです。 特に、「医学的」な知識などは、だれも教えてくれないでしょう。 普段、ちゃんと勉強している医者と同じくらいの情報を提供してくれるように思います。が、私の場合、文章に書かれている学会で発表された内容がファクトでなくても、ファクトに近いのではと感じます。
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・去年、7月に「腹部大動脈(ステントグラフト内挿術)」と「食道癌」で食道を切除をしましたが、いまだに調子が悪いので調査
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