3.互換性のあるレイヤーを用意し、APIレベルで差異を吸収する方法
「CrossOver Mac」は、オープンソースのWin32 API互換レイヤ「Wine」をベースに開発された、Windowsアプリケーションの実行環境です。ですので、オリジナルはオープンソースの「Wine」が元になっていますが、2つ共、やり方や入手方法が違いますので2つに分けて記載します。
<どっちを使うか?>
はっきり言って、「Wine」のほうが、環境を構築するのが面倒です。タダで手に入りますが、ちょっとマニアックです。
それに比べて、「CrossOver Mac 」は市販されている製品ですので、簡単に環境を構築できます。
2つとも、共通な事は、
Windows OSを持っていなくても、MacでWindowsOS上で動作するアプリが動くと云う事です。 全部ではありませんが。。。。
1)「Wine」
オープンソースのWin32 API互換レイヤ「Wine」をベースに開発された、Windowsアプリケーションの実行環境です。
Wineは、仮想マシンとは異なり、互換レイヤーとして動作しています。つまり、Windowsプログラムが要求するDLL(ダイナミックリンクライブラリー)の代替品を供給し、また Windows NTカーネルのプロセスを再現することによって、Windowsプログラムをネイティブ動作させています。
<補足>
DLL(ダイナミックリンクライブラリー)とは、簡単に言えば、Windowsが提供する色々な機能を処理、実行する為の共通プログラムの部品群です。これが有るから開発者はプログラムコードを全部書くのではなく、この部品をコールするだけで、色々な共通機能を使えます。
例えば、Windowsの「iTunes」とMACの「iTunes」を比較すると、Windowsの「iTunes」の方が、全然、EXEの容量も大きく、重いのは、Windowsの仕様変更の影響を避ける為に、Windowsの「DLL」をあまりコールしないで、自前でコードを書いているから、EXEの容量も大きく、重い原因になっていると思われます。 人の家(Windows)のルールに従いたくない時は、こんな方法を通常、取りますので。。。仕方ないですね。
「Wine」をインストールして使えるようにするまで、色々な環境を準備する必要が有り、ハードルはかなり高いです。
AppleのiOSのアプリなどを開発する為の「Xcode」 をインストールする必要が有ります。その他、パッケージ管理システムのインストールも必要です。更に、Wine のインストール、XQuartz のインストールと続きます。
<手順>
1)Xcode のインストール
2)MacPorts や Homebrew、Fink などのパッケージ管理システムのインストール
3)Wine のインストール
4)XQuartz のインストール
私には、「Wine」は、マニアックすぎて、手を出す気になりませんので、下記のサイトの記事を紹介します。
・Wineを使ってMacでWindowsアプリケーションを動かす
又、wineプロジェクト派生で「EasyWine」というのも有ります。
<追記> 2018年3月
「Wine 3.4」が公開されました。
<主な変更点>
・Vulkanサポートの改善(X11ドライバの統合なども含む)
・x86-64における特権インストラクション処理の改善
・RegEditにおける16進数編集ダイアログの改善
・wine-stagingからのいくつかのパッチのマージ
・複数のバグ修正
2)「CrossOver Mac 」
インテルMacでWindowsアプリケーションをネイティブに動作させることができる互換レイヤーソフトです。
CPUレベルにおいてはネイティブに動作し、Windowsの「API」コールに応じて「CrossOver」がWindowsと同様に、操作を行い、レスポンスを返す。(API:アプリケーション プログラム インターフェース)
CrossOver Macを使えば、Microsoft Office(Word、Excel、PowerPoint、Outlook)、一太郎、ホームページビルダーなどのWindowsソフトが、インテルMac上でシームレスに動作します。
Windowsを再現すべく作られた環境のことを「CrossOver」では「ボトル」と呼んでいる。
Windows 98、2000、XPの3つのバージョンのAPIに対応しており、ボトルを作成する際も、どのバージョンのWindows環境を構築するのか、この3つから選択する。
Windowsアプリケーションをその「ボトル」にインストールする。
<こんな方にお勧め>
- Windows 98用のアプリケーションなど、現在では稼働環境のなくなってしまったWindowsソフトを使いたい。
- Microsoft Office 2007と2010を同じマシンで使いたい。
- MacでWindowsアプリケーションを動かしたいが、Windows OSやPCをわざわざ購入したくはない。
- WindowsからMacへ乗り換えたいが、利用できなくなるアプリケーションがあるのでなんとかしたい。
- 普段はMacを使用しているが、仕事でWindowsアプリケーションのファイルを開く必要がある。でも、仮想環境を入れるほどでもない。
<メリット>
・バーチャル(仮想)マシンと違い、Windowsのライセンスが不要なこと。
・Mac OS上でネイティブ動作するために処理が高速です。
<デメリット>
・使用APIの種類によっては互換性が完全ではなく、安定性に問題が生じる場合がある。
・すべてのWindowsアプリが動作するわけではない点です。
・ネットジャパンの製品 「CrossOver Mac 14」
https://mynetjapan.jp/ec/products/list.php?mode=search&category_id=&name=CrossOver+Machttps://www.netjapan.co.jp/r/product_mac/co_m/com_a.php
(ダウンロード版 税込み価格 6,048円)
<追記>
CrossOver Macは、開発元CodeWeavers社との契約終了に伴い、2016年3月31日で販売を終了し、2016年9月30日でサポートも終了いたしました。
Sponsored Links
次のページは、
4.Microsoft 社のリモートデスクトップクライアント「Microsoft Remote Desktop Connection Client for Mac 2 」です。