11月17日、
Appleが、ついにAppleストアで「Apple SIM」を国内販売を開始しました。「Apple SIM」自体の日本での販売価格は、648円(税込)です。世界90以上の国と地域で、主要な通信事業者の携帯電話データプランを選べます。
1.「Apple SIM」って何?
通常、SIMって、契約した通信会社(MNO、MVNO)が発行するのではと。。。思います。 SIMと云うカードが、通信端末(携帯電話やセルラーモデルのタブレット)に入っている事さえ知らない方は問題外として、どんな意味があるのか? 認識してみましょう。
「Apple SIM」は、通信会社(MNO、MVNO)で、SIMを購入しなくても、Appleから1枚購入してセットすると、端末上から、ソフト的に複数の通信事業者を選べる、魔法の「SIMカード」?なのです。
2.日本での利用は
日本では、auのネットワークを利用可能です。
1GBを1,500円で使えるauの『LTEデータプリペイド』がApple SIMに対応します。
まだ、通常の「携帯電話」には、間違っても、対応していませんので、喜ぶのは、まだ早いです。
3.Apple SIMを利用できる対応機種は
タブレットのみです。
iPad Pro、iPad Air 2、iPad mini 4 、iPad mini 3 のWi-Fi + Cellularモデルです。
Appleは、通信キャリアに縛られない、独自のSIMカード「Apple SIM」は、iPhoneに搭載する計画はないことを明らかにしています。
iPadに、「Apple SIM」を搭載したのは、販売時点では購入者がどのキャリアを選択するか不明だからで、iPhoneについては「ほとんどのiPhoneがキャリア経由で売られているため、Apple SIMを搭載する理由がない」と述べています。
何と言うか。。。。。言い換えれば、「iPhoneがキャリア経由で売られている」から、キャリアの利益を奪うような事は致しませんと言っているのと同じです。
日本など、キャリア経由でたくさん売れているのに、「Apple SIM」にしたら、キャリア経由で購入しなくなるでしょう。
4.Apple SIMの何が便利なの?
例えば、海外からの訪日した外国人なら、「Apple SIM」が有れば、SIMカードを買い換えることなく、日本国内でiPadなどでのデータ通信ができ、利便性が増します。
現状、日本人が、海外旅行や国外出張時には、割高なローミングサービス(1日約3,000円)を利用するか、現地の通信会社のSIMの調達が必要でした。
海外旅行や国外出張をする人は、国内のSIMフリーの端末が、欲しい理由がここにありました。 国内のSIMロックがかかったスマホでは、現地(海外)で調達したSIMを使用できないからです。
5.SIMロック解除の意味
一時期、「SIMロック解除の端末」と騒がれましたが、海外旅行や国外出張へ行かない人が、SIMロック解除することの意味と、海外旅行や国外出張へ行く人のSIMロック解除の意味が違うのです。
例えば、ドコモと契約していて、海外旅行や国外出張へ行く人は、ドコモとの契約をそのままにして、海外で現地の安いSIMを使用して通信したいのです。ただ、ローミングに比べて安いことがメリットですが、海外のデータ通信料金もそんなに安くないのですが。
海外旅行や国外出張へ行かない人が、SIMロック解除をすると云う事は、ほぼ、ドコモとの契約を解除する場合でしょう。 そう、安い料金の通信会社に乗り換える時です。
「Apple SIM」は、「SIMロック解除の端末」以上の存在になります。
6.Apple SIMの思惑は、違いは、別のとこにあります。
SIMカードは、通信会社(キャリアなど)が発行するものであり、そのキャリアのSIMカードを入れたスマートフォンは、そのキャリアの携帯電話回線しか利用できない(SIMロックがかかっている状態)。
一方「Apple SIM」は、SIMカードを複数の通信会社のものに書き換え可能になっています。つまり、アップルと契約しているキャリアの契約内容を自由に書き込めるのです。尚、直接SIMカードの中身そのものを書き換えるのではなく、SIMカードの認証の部分で「Apple SIM」のIDと対応する通信会社の情報のひも付けをソフト的に書き換えるだけですむようになっていると思われます。
7.このようになれば、通信契約のカギを握るのは、通信会社(キャリア)ではなく、端末メーカーになってしまうのです。
これをやられると、一番、ヤバいのは、日本のキャリア3社でしょうね。日本のキャリア3社は、もう、正真正銘の「土管屋」になってしまい、料金の主導権さえ握る事が出来なくなってしまうからです。
ですので、携帯電話で「Apple SIM」が使えるようにする事には、全力で抵抗するでしょう。
Apple自体も、通信キャリアに縛られない、独自のSIMカード「Apple SIM」は、「iPhone」に搭載する計画はないことを明らかにしています。だって、携帯電話で「Apple SIM」が使えるようになれば、一々、iPhoneを購入して、キャリアと契約しなくても良いんですから。。。その時、選んだ安い通信会社の通信回線が、端末の設定画面から、設定1つで、切り替えて使用できるのですから。。。。。
端末の画面の上で、安い通信会社の契約を自由に選択できるのですから、これで、やっとキャリア同士が、直接「料金競争」を行なわざるを得なくなるのです。Apple独自のSIMカード「Apple SIM」の出現による影響は、「iPhone」に搭載する計画はない事をAppleが明らかにしていますので、キャリアは動揺する素振りも有りません。
8.土管屋の運命
日本のキャリア3社は、「土管屋」しかできなければ、悲惨な結果になる事が見えていますので、焦っていますが、もう、どうにもならないでしょう。。。別の事業をしないと食ってゆけなくなる? かも。。。。しれません。
ちょっと、可哀そうな気もしますが、「自業自得」ですので、ほっておくしか有りませんよね。
政府から「携帯料金をやすくしろ」と云われて、横並びで、相手(ライバル)の出方を見ている暇があるなら、どうやったら「土管屋」に成り下がらないで済むか。。方法を考えた方が、良いのではと思うのですが。。。無理でしょう。。。。
—関連記事—
・総務省の携帯料金が高いから、「携帯電話料金」の値下げという議論について
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