2025-09-07、
本日の書籍紹介は、緊縮資本主義 経済学者はいかにして緊縮財政を発明し、ファシズムへの道を開いたのか クララ・E・マッテイ(著)です。
本書は、緊縮財政が単なる経済政策ではなく、資本主義体制を維持するための「階級戦略」であることを主張して、緊縮財政を巡る論争に一石を投じた「論争の書」として高く評価されています。
著者は、第一次世界大戦後のイタリアとイギリスの歴史的分析を通じて、経済学者がいかにして財政緊縮、金融緊縮、産業緊縮という「緊縮三位一体」を発明し、それが労働者階級から投資家や富裕層へ富を移転させる仕組みとして機能したかを論証します。
・財政緊縮: 公共支出の削減、医療・福祉予算の縮小、年金減額など。
・金融緊縮: 高金利政策を通じて賃金を抑え、資本の蓄積を促進する政策。
・産業緊縮: 労働組合の力を削ぎ、ストライキを潰すなど、労働者の権利を抑制する政策。
特に、ファシズムが台頭したイタリアの事例では、緊縮策が国家による資本蓄積への積極的介入を促し、結果的にファシズムへの道を開いたと指摘しています。
<目次>
【第Ⅰ部 戦争と危機】
第1章 第1次世界大戦と経済
第2章 新思想を奉ずる人々
第3章 経済民主化をめぐる闘争
第4章 新秩序ーー第1次世界大戦後の枠組みと思想の成立
【第Ⅱ部 緊縮策の持つ意味】
第5章 国際テクノクラートと緊縮の形成
第6章 イギリス緊縮物語
第7章 イタリア緊縮物語
第8章 イギリスから見たイタリア緊縮策とファシズム
第9章 緊縮策の勝利
第10章 恒久化する緊縮策
【日本語版解説】実質賃金停滞を招いている「財政・金融・産業の緊縮」と「脱政治化」(中野剛志)
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トマ・ピケティ、ヤニス・バルファキス、チョムスキー、マリアナ・マッツカート絶賛!
実質賃金を下げ、戦争と全体主義を招く真犯人とは?
⇒「財政」「金融」「産業」の三位一体の「緊縮」構造
⇒経済学者とテクノクラートの結託による「脱政治化」
緊縮財政は単なる財政健全化の手段ではなく、資本主義体制を維持するための階級戦略だった!
気鋭の経済史家による革命的野心作
〈当代きっての研究者たちが絶賛!〉
■第一次世界大戦後のヨーロッパにおける緊縮政策の台頭と、それがいかにしてファシズムへの道を開いたか――今日の経済政策の多くとともに-――の魅力的な歴史。未来への重要な教訓を与えてくれる必読の書。歴史政治経済学の最高傑作――トマ・ピケティ
■緊縮財政は無実の政策ミスではなく、暗黒の利益に機能する誤謬である。本書は、緊縮財政の隠された意図を暴いている――ヤニス・バルファキス
■マッテイの新著は、新しい経済の物語を構築するための重要な貢献だ。インフレ率が上昇し、政府が再び 「ベルトを締めたい」と感じている今、本書はこれまでと同様に適切である――マリアナ・マッツカート
■マッテイは、非政治的であるはずの経済学が、いかに階級抑圧のイデオロギーとして機能してきたか、そして現在も機能しているかを明らかにしている――ロバート・スキデルスキー
■緊縮財政を単なる経済政策としてとらえるのではなく、下層階級が支配階級の嗜好に疑問を抱き始めた際に、資本主義体制を維持するための危機管理の一環として行われる政策と見なすならば、その甚大な被害にもかかわらず、なぜこれが繰り返されるのかが理解できる――マーク・ブライス
■私たちが今生きている瞬間と驚くほど共鳴する。手放せない書だ――ジェームズ・K・ガルブレイス
■政治と経済を切り離そうとする努力には長い歴史がある。クララ・E・マッテイによる非常に印象的な最近の研究は、この二項対立が、典型的には緊縮財政プログラムという形をとりながら、1世紀にわたって階級闘争の主要な手段であり、ファシズムへの道を開き、それは実際に西側のエリート世論に歓迎された、と説得力を持って論じている。――ノーム・チョムスキー
■日本の実質賃金は長きにわたって伸び悩んでいる。実質賃金を引き上げるには、どうしたらよいのであろうか。それを知りたい人には特に、本書を薦めたい――中野剛志(本書解説)
緊縮財政の真の目的は経済の安定化ではなく、富裕層への富の集中と労働者階級の抑圧だった。
いかにして経済学者とテクノクラートが、一見「中立的」な経済政策を用いて、階級支配を強化し、民主主義を形骸化させてきたかを歴史的証拠と経済理論を駆使して分析。
単なる経済史にとどまらず、現代社会における所得格差や経済的強制の根源を探る。
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