2026-02-14、
本日の書籍紹介は、現代ファシズム論 何が民主主義を壊すのか 山口 二郎 (著) です。
『現代ファシズム論』は、現代日本における政治状況を、過去の歴史的教訓と照らし合わせながら鋭く分析した一冊です。
■特定の政党を叩くための本ではなく、「私たちの自由は、私たちが守る意思を失った瞬間に消える」という民主主義の脆弱性を再確認するためのガイドブックです。
■「昔の独裁とは形が違うから大丈夫」と油断している現代人にとって、鏡を突きつけられるような読書体験になるでしょう。
山口氏の文体は、「政治学者」としての冷静な理論分析と、一人の主権者としての激しい怒りが同居しています。そのため、読者によっては「偏向している」と感じる場面もあるかもしれませんが、むしろその「危機感の強さ」こそが本書のドライブ感(推進力)となっています。
■著者:山口二郎
1958年生まれ。東京大学法学部卒業。同大学助手、北海道大学教授などを経て、2014年より法政大学法学部教授。専門は、現代政治、行政学。 ちょっと、過激な言動をすることもあります。
札幌の「北海道大学」から、東京の「法政大学」に移動しましたが、批判やバッシングについて 彼の政治的発言(特に安倍政権への強い批判など)に対して、ネット上などで「大学を追われたのではないか」といった憶測が飛ぶこともありますが、これらはあくまで政治的な立場が異なる人たちによる噂に過ぎず、公式に大学側から処分を受けたといった事実は一切ありませんとのことです。
<目次>
序章 ファシズムの底流
第1章 世界における戦後民主主義
第2章 民主主義の前提はいかにして崩れたか〔経済〕
第3章 民主主義の前提はいかにして崩れたか〔情報とコミュニケーション〕
第4章 民主主義の前提はいかにして崩れたか〔民主主義〕
第5章 民主主義の前提はいかにして崩れたか〔戦後日本のケース〕
第6章 21世紀型ファシズム「フェイクファシズム」の時代
第7章 ファシズムにどう対抗するか
終章 自民党政治、そして日本の民主主義はどこへ行くか
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■権力の「野蛮化」と「劣化」
山口氏は、かつてのファシズムが暴力的なクーデターによって成立したのに対し、現代のそれは「選挙での勝利」という正当性を盾に進むと指摘します。数の論理で異論を封殺し、公文書の改ざんや虚偽答弁が横行する状況を、政治の「野蛮化」と呼んでいます。 まさに安倍政権の時がそうでした。
■フェイクファシズムとは? 「民主主義のふりをした独裁」のことです。
かつてのヒトラーやムッソリーニのような「本物の(古典的)ファシズム」とは形態が異なるものの、本質的には民主主義を破壊しているという皮肉と警告が込められています。
その特徴を3つのポイントで解説します。
1. 民主主義の「形」だけを利用する
古典的ファシズムは、暴力やクーデター、憲法停止などによって権力を奪取しました。しかし「フェイク・ファシズム」は、以下の手法をとります。
-
選挙による独裁:
暴力ではなく、選挙という正当な手続きを経て多数派を形成する。 -
法の支配の偽装:
法律を無視するのではなく、自分たちに都合が良いように解釈を変更(閣議決定など)したり、公文書を書き換えたりして「法に基づいているフリ」をする。
つまり、外側(器)は民主主義のまま、中身(実態)だけを独裁的なものに置き換える手法です。
2. 敵を仕立て上げる「劇場型」政治
大衆の支持を維持するために、常に「共通の敵」を作り出し、攻撃するパフォーマンスを行います。
-
レッテル貼り:
異を唱える学者、メディア、野党などを「反日」「既得権益」「抵抗勢力」と呼び、議論ではなく「排除」の対象にします。 -
SNSの活用:
複雑な政策論争を避け、短く刺激的な言葉で国民の感情(怒りや不満)を煽ります。
3. 「思考停止」を誘う政治の劣化
山口氏は、言葉が意味を失う状況を危惧しています。
-
論理の不在:
質問に対して正面から答えず、ご飯論法(論点ずらし)や虚偽答弁を繰り返すことで、公的な言論空間を無意味なものにします。 -
無関心の増幅:
政治が劣化し続けることで、市民に「どうせ何も変わらない」という諦めと無関心(思考停止)を抱かせ、権力へのチェック機能を麻痺させます。
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