戦争社会学

【書籍紹介】天皇と人権 戦前戦後を貫く「日本的歪み」の正体(講談社現代新書)  森島豊(著)

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2026-11-01、
今年も、早いもので、残すところあと2が月になってしまいました。 先日、手稲山も初冠雪を迎え、恐怖の冬の季節に突入です。 食道がん手術の後遺症で、自律神経(迷走神経)が切断されバランスを崩していますので、過去、流氷の来る町でくらいしていましたので、寒さはへっちゃらでしたが、今は死ぬほど寒いと感じるようになってしまいました。 自分にしか分からない「体調の悪い日」が続きそうです。

本日の書籍紹介は、天皇と人権 戦前戦後を貫く「日本的歪み」の正体  森島豊(著) です。

本書の中で、私が気になる問題として、特に天皇と「統帥権干犯問題」、「国体」、「青年将校の事件」 「現代の人権との違い」についてです。

本書の内容と論点、質問項目(国体、青年将校、統帥権干犯、現代の人権との違い)に沿って整理して記載します。

欧米の「人権」思想は、神の前にすべての人間が平等であり、権力者が暴政を行えば民衆がそれに抗う「抵抗権」を根底に持ちます。
しかし近代日本(明治以降)では、この概念が変容し、「天皇の下における万民の平等(一君万民)」という形で受け入れられました。つまり、「絶対的な天皇(国権)」が先にあって、そのもとで初めて人権が与えられる(天賦国権・国賦人権)という構造です。

著者は、この「日本型人権観」が戦前だけでなく、形を変えて戦後の現代社会(同調圧力や排除の構造)にもそのまま引き継がれていると指摘します。

■天皇と人権 戦前戦後を貫く「日本的歪み」の正体  森島豊(著)

【本書の目次】
第一章 欧米の人権思想の形成過程
第二章 日本国憲法に影響を与えた欧米の人権思想
第三章 なぜ日本では君主を「天皇」と呼称するのか
第四章 天皇を中心とする国の構造
第五章 天皇はいかにして国民の中に浸透したのか――文化政策と宗教政策
第六章 近代思想はどのように日本化したのか――信教の自由と政教分離の日本的再構成
第七章 人権とテロリズム――国体に基礎づけられた権利意識
第八章 天皇を相対化した運動
第九章 戦前と戦後の連続性
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1.この書籍の全体概要と主な内容

本書の核心的な問いは、「なぜ近代日本の人々は、善意や『平等』の名のもとに国家に動員され、暴力を肯定して破局へと向かったのか」 という点にあります。

欧米の「人権」思想は、神の前にすべての人間が平等であり、権力者が暴政を行えば民衆がそれに抗う「抵抗権」を根底に持ちます。 しかし近代日本(明治以降)では、この概念が変容し、「天皇の下における万民の平等(一君万民)」という形で受け入れられました。つまり、「絶対的な天皇(国権)」が先にあって、そのもとで初めて人権が与えられる(天賦国権・国賦人権)という構造です。

著者は、この「日本型人権観」が戦前だけでなく、形を変えて戦後の現代社会(同調圧力や排除の構造)にもそのまま引き継がれていると指摘します。

1)現代との接続

著者が強調するのは、戦後憲法によって「人権」が明記されたものの、日本人の深層にある「同調圧力」や「みんな同じでなければならない」という共同体意識の構造は変わっていないという点です。

コロナ禍で見られた「自粛警察」のように、ルールや「空気」に従わない個人をみんなで攻撃・排除する現象は、戦前の「一君万民の平等から外れた者を叩く」思考回路の現代的表れであると論じられています。

2. 個別キーワードに関する本書の分析

① 「国体」と「一君万民の平等」

水戸学の會澤正志斎『新論』などを起源とする「国体」観念は、「神の子孫である天皇」を頂点とし、国民はそのもとで等しく「大みたから(御宝)」であるとする世界観です。

一見すると「平等」に見えますが、「天皇と国民を隔てる中間勢力(政党、官僚、財閥など)は、平等を阻害する邪魔者(君側の奸)である」という思想を生み出す回路になりました。

② 青年将校の事件(二・二六事件など)と「暴力の免罪符」

五・一五事件や二・二六事件を起こした昭和初期の青年将校(昭和維新派)は、特権階級や政党政治を倒そうとしました。

彼らにとってテロ行為は悪ではなく、「天皇のもとでの真の平等を取り戻すため、中間排除を行う正義の行い」と解釈されました。 欧米の人権が「国家権力から個人を守るためのもの」であるのに対し、日本では「天皇(国家)と直結した平等を達成するための暴力を正当化・免罪する理論」へと反転したのです。

③ 統帥権干犯 問題

明治憲法下における「軍の統帥権は天皇に属する(政府の口出しを受けない)」という規定は、軍部が政党政治や外交方針を攻撃する最大の武器となりました。

「政府の判断は天皇の意志(国体)に違反している」と糾弾するロジックは、国民側の「天皇への直結感」と結びつき、結果として憲政の常道や立憲主義を内側から破壊していきました。

これを利用して、軍部は調子こいて、どんどん戦争にのめり込んでいった原因の一つでもあります。

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