働き方改革

日本でも、「スキル格差社会」が到来しているのか? リスキリングは、会社に頼らず、自分自ら行う時代が到来しているのか?

2025-07-18、
本日の話題は、日本でも、スキル格差社会が到来しているのか? です。
さらにリスキリングは、会社に頼らず、自分自ら行う時代が到来している。

日本において、スキル格差社会の到来はすでに現実のものとなっており、リスキリングに関しても、会社に完全に頼るだけでは不十分で、個人が自ら主体的に取り組むことの重要性が増しています

そういっても、「転社」ではなく、本当の意味で「転職」しようと考えていないと、「リスキング」なんて考えられないでしょう。 ただいるだけで、毎月「給料」がもらえるのですから、こんな労働者は、何もしないでしょう。

1.スキル格差社会の到来について

■産業構造の変化:
・過去の日本は、製造業を中心とした均質な労働市場で、比較的誰でも同じようなスキルで仕事に就き、生活を維持することが可能でした。しかし、近年、AIやIT技術の進化、グローバル化の進展により、産業構造が大きく変化しました。
・デジタル技術を駆使できる人材や、高度な専門知識を持つ人材が求められる一方で、そうでない人材は、低賃金で不安定な雇用に就かざるを得ない状況が増えています。
・例えば、IT関連の企業や、AIやデータサイエンス分野の人材は高収入を得られる一方で、伝統的な製造業やサービス業では、賃金の上昇が鈍化している傾向があります。

■雇用形態の多様化:
終身雇用制度が崩壊し、非正規雇用や派遣社員など、雇用形態が多様化しています。非正規雇用は、正規雇用に比べて、賃金が低く、福利厚生や社会保障も十分でない場合が多く、経済的な格差を生み出す要因となっています。
・特に、女性や若年層は、非正規雇用に就きやすい傾向があり、経済的な格差が世代間や男女間で広がっています。

◼︎デジタルスキル格差の顕在化:
DX(デジタルトランスフォーメーション)の進展により、デジタルスキルを持つ人材の需要が急速に高まっています。一方で、デジタルスキルを持たない層との間で、仕事の機会や賃金に格差が生じつつあります。
独立行政法人情報処理推進機構(IPA)の調査では、DX人材の「量」と「質」ともに日本は米国に大きく水をあけられていると指摘されており、日本企業の多くがDX人材不足を訴えています。

◼︎教育格差との連動:
貧困層の家庭では、塾や習い事など学校以外の教育機会が不足し、これが将来的なスキル習得や高賃金の職に就く可能性に影響を与え、格差の連鎖を生む可能性があります。

◼︎OECDの調査結果:
OECDの成人スキル調査(2024年)によると、日本では「読み書き能力」が停滞・低下傾向にあるとされ、成人人口の約5人に1人が3つの主要な能力(読み書き、計算、適応問題解決)全てで低いスコアにとどまっていると指摘されています。これは、スキル格差が拡大していることを示唆しています。

◼︎非正規雇用の増加:
バブル崩壊後の不況下における労働派遣法の緩和などにより非正規雇用が増加し、低所得の労働者が増えたことも格差の一因とされています。

 

2.リスキリングは会社に頼らず、自分自ら行う時代が到来しているのか?

これは、「会社も支援するが、最終的には個人の主体性が不可欠」という状況と言えます。

企業のリスキリング取り組みの現状と課題:
約9割の企業がリスキリングの必要性を感じているものの、実際に取り組んでいる企業は3割未満に留まっています。

リスキリングに取り組んでいない理由として、
「何をすればよいかわからない」・・・レベルの極めて低い企業
「スキルやノウハウがない」・・・・同上
「経営陣の理解がない」・・・・・・同上
などが挙げられています。

リスキリングの進捗管理も「個人に任せている」企業が85.7%に上るなど、企業主導のリスキリングが十分に進んでいない実態があります。

企業がリスキリング施策を行っても、社員が「やらされ感」「押し付けられ感」を持つケースもあり、本人の自発性が重要視されています。

 

3.個人の主体性の重要性:

◼︎リスキリングは、社会の変化に対応し、自身が職業で価値を創出し続けるために必要なスキルを習得するものです。単なる学び直しとは異なり、個人のキャリア形成と密接に結びついています。

◼︎政府も個人のリスキリング支援に「5年で1兆円」を投じる方針を示しており、個人の学びを後押しする動きがあります。

◼︎多くの情報源で、リスキリングの成功には個人の「学びたい」という意思、自己学習の習慣、そしてキャリアプランとのすり合わせが不可欠であることが強調されています。


■結論として、

日本でもスキル格差社会は進行しており、この流れに対応するためには、リスキリングが必須となっています。企業によるリスキリング支援も増えてきてはいますが、その取り組みはまだ十分とは言えず、最終的には個人の主体的な学びと自己投資が、今後のキャリア形成においてますます重要になっていくと考えられます。
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4.「デジタルスキル」とは、具体的にどの様なスキルか?

「デジタルスキル」とは、単にパソコン操作ができるといった狭い意味合いだけでなく、デジタル技術を理解し、活用することで、ビジネスや社会の課題を解決し、新たな価値を創造していくために必要な能力全般を指します。

経済産業省とIPA(情報処理推進機構)が策定した「デジタルスキル標準」では、大きく分けて以下の2つのレベルでデジタルスキルが定義されています。

1)DXリテラシー標準(DSS-L):すべてのビジネスパーソンが身につけるべきスキル
2)DX推進スキル標準(DSS-P):DXを推進する専門人材が身につけるべきスキル

それぞれの具体的な内容を以下に示します。

1)DXリテラシー標準(DSS-L):すべてのビジネスパーソン向け

これは、職種や業種に関わらず、現代社会で働くすべての人が共通して理解しておくべきデジタルに関する基礎的な知識と姿勢を指します。具体的には、以下の4つの項目で構成されています。

■Why(DXの背景):
・社会やビジネス環境がどのように変化しているか(Society 5.0、データ駆動型社会など)。
・なぜDXが必要なのか、DXがもたらす価値や変革の方向性。
・競争環境の変化や顧客価値の変化への理解。

■What(DXで活用されるデータ・技術):
・データとは何か、データの種類や特性、データの活用方法。
・AI(人工知能)、クラウド、IoT(モノのインターネット)、ネットワークなどの基本的な仕組みや概念。
・セキュリティの重要性や基本的な対策、個人情報保護や著作権などに関する知識。
・ノーコード・ローコードツールなど、各種ツールの基本的な活用方法。

■How(データ・技術の利活用):
・データを使って課題を発見し、分析し、解決策を導き出す能力。
・デジタルツールを効果的に活用して業務を効率化したり、新しいサービスを考えたりする能力。
・事実に基づいた判断を行うためのデータリテラシー。

■マインド・スタンス(新しい価値を創造するために必要な意識、態度、行動):
・変化を恐れず、自ら学び続ける意欲。
・常識にとらわれず、新しい発想で物事を考える力。
・失敗を恐れず、試行錯誤を繰り返す姿勢(アジャイルな考え方)。
・多様な専門性を持つ人々と協力してプロジェクトを進めるコラボレーション能力。

 

2)DX推進スキル標準(DSS-P):DXを推進する専門人材向け

こちらは、企業のDX推進において中心的な役割を担う専門人材(DX人材)に必要な、より高度で専門的なスキルを指します。主な人材類型と、それぞれに求められるデジタルスキルは以下の通りです。

■ビジネスアーキテクト:
・DX戦略の立案、目的設定。
・関係者間の調整、プロジェクトマネジメント。
・ビジネスモデルの設計、業務プロセスの最適化。

■デザイナー:
・製品やサービスの方針策定、開発プロセスの設計。
・ユーザー体験(UX)設計、UI(ユーザーインターフェース)デザイン。

■データサイエンティスト:
・データ活用戦略の策定。
・データの収集、加工、分析(統計学、機械学習、深層学習など)。
・データに基づいた意思決定支援、予測モデリング。
・データ活用基盤の設計・実装・運用(データエンジニアリング)。

■ソフトウェアエンジニア:
・システムやソフトウェアの設計、開発、運用、保守。
・プログラミング能力、システムアーキテクチャの知識。
・クラウドインフラの活用、セキュリティを考慮した開発。

■サイバーセキュリティ:
・サイバーセキュリティリスクの評価、対策の立案・実施。
・セキュリティ体制の構築・運用、インシデント対応。
・セキュアなシステム設計・開発、プライバシー保護。

これらの専門的なデジタルスキルに加えて、DX推進には「パーソナルスキル」(リーダーシップ、コミュニケーション能力、問題解決能力、適応力など)や「ビジネススキル」(論理的思考力、プレゼンテーション能力など)も重要視されます。

このように、デジタルスキルは多岐にわたり、個人の職務や目指すキャリアによって、習得すべき具体的なスキルは異なります。しかし、共通して言えるのは、デジタル技術を単なるツールとしてではなく、社会やビジネスをより良くするための手段として捉え、自ら学び、活用していく姿勢が非常に重要であるということです。

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